Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

アメリカSGI三十周年記念総会 大樹も一粒の種子から

1990.2.24 スピーチ(1990.2〜)(池田大作全集第74巻)

前後
6  誠実こそ人生勝利の原点
 コーヒーの国ブラジルに、こんなエピソードがある。
 今日では、ブラジルはコーヒーの本場として、あまりに有名である。しかし、もともとブラジルにコーヒーはまったくなかった。それでは、どこから、あの大コーヒー王国が生まれたのか。
 一七二七年、ブラジルからギアナの地を訪れたアマゾンの一人の開拓者が、初めてコーヒーのことを知る。彼は「わがブラジルの大地にもコーヒーを植えよう」と思い立つ。そこで、ギアナの総督に、コーヒーの種を分けてくれるよう頼んだ。だが、当時の国法で禁止されているからと、どうしても認めてもらえない。
 それでも彼は、あきらめなかった。何度も願いを出した。しかし、やはり断られる。あきらめきれない。どうすればよいのか――。
 ところが彼の真剣さと熱意に打たれた総督の夫人が、彼のブラジルヘの帰国のさいに、そっと一にぎりのコーヒーの実を、ポケットに入れてくれたのである。
 今日のコーヒー王国は、そのわずか一にぎりのコーヒーの実から始まったという。まことに劇的な歴史である。
 大なり小なり、新しい歴史の始まりとは、そういうものであろう。大河も一滴から始まり、大山も一塵からなる。千里の道も、一歩から始める以外にない。
 まずその「一粒の種」「一にぎりの種」を大切に、じっくりと育てていくことである。そこに、限りない未来の発展が、約束されていく。
 コーヒー王国の原点となった一青年の成功は、偶然ではなかった。
 彼には、熱い「誠意」があった。あきらめず、何度でも立ち向かう「情熱」と「執念」があった。そうした事実の姿が、見る人の心を動かし、信頼を生み、味方をつくっていったのだ、と私は思う。
7  信心と広宣流布の世界にあっても、「誠実」こそ宝である。
 策でもない。命令でも、号令でもない。誠実こそが、人を動かす。広布への赤誠の信心が、御本尊にも深く、また深く感応し、諸天をも揺り動かしていく。
 長い日で見た時には、必ず誠実の人が勝っている。そして状況がどう変わろうとも、わが胸中のまことは、だれ人も奪うことはできない。
 私もこれまで、誠実ひとすじで走ってきた。権力にもよらず、経済力にもよらず、裸の人間としての大誠実だけで、嵐の中、いく百万の民衆の先頭に立ってここまで来た(拍手)。恩師への誓いのままに、ただ、会員を守ろう、幸福をつかんでもらおう、との真心しかなかった。それが私の一生である。(拍手)
 アメリカの今後の新しき発展も、リーダーそれぞれの大誠実以外に断じてありえないと、私は重ねて申し上げておきたい。そして皆の力で「これ以上、楽しく、これ以上、安心できる世界はない」と言えるアメリカSGIを立派に建設していただきたい。
 また千年の未来へ、壮大な人類史を開くトップランナーとして、朗らかな前進を、お願いしたい。(拍手)
 最後に、全アメリカの皆さまの、栄光と幸福の人生、ご家庭の円満と、ご健康、ご長寿をお祈り申し上げ、祝福のスピーチとさせていただく。
 (アメリカSGI世界平和池田講堂)

1
6