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日蓮大聖人・池田大作

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第二十三回本部幹部会 最高の「人間性」こそ指導者の要件

1989.11.18 スピーチ(1989.8〜)(池田大作全集第73巻)

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22  慈愛の人に無限の「知恵」
 友に尽くして死んだリーダーの逸話は、西洋にも数多い。
 たとえば、エリザベス女王に仕えたイギリスのフィリップ・シドニー(一五五四年〜八六年)。彼は、詩人としても第一級であり、外交官でもあり、また軍人でもあり、いわば文武両道の人であった。
 オランダを助けてスペインと戦った時、シドニーは重傷を負った。それは彼が、友人の騎士に自分の甲冑を貸し与え、自分は生身を敵の剣にさらして戦ったからであつた。
 血が止まらない。傷は深い。喉が猛烈に乾いた。そこで、まわりの兵士が四方をたずね、やっと一杯の水を得た。この時、一人の老兵がシドニーのそばに倒れていた。彼も、じっと水のコップを見ている。
 シドニーは将軍、老人は無名の兵士である。しかしシドニーは言った。
 「この水は、あの老兵に与えよ。彼は私よりも、もっと水を必要としていよう」
 こう言って、そのまま息を引き取った――。
 イギリスに長く伝えられた、有名な話である。
 また、ロシアの名将スコベレフ(一八四三年〜八二年)は、つねに白い服を着て戦場に臨んだ。夏だけでなく、春も秋も、厳冬も――。つねに馬上には″白衣の将軍″の姿があった。当然、敵からもよく見える。ある人が不思議に思い、その理由を問うたところ、将軍は微笑んで言った。
 「私は、つねに兵の先頭に立って進むことにしている。白い服であれば、部下にはいつでも私の姿が見えるから、その後を追って突進できるだろう」と。
 みずからの身を危険にさらしながら、なお味方の士気を鼓舞する。彼は軍人であり、その歴史的評価はさまざまかもしれないが、まさに戦場における勇猛の将であった。
 自分がどうなろうとも、同志のため、後輩のため、そして悩める人のために尽くしぬく。また戦いに臨んでは、つねにみずから先頭をきって行動し、活路を開き、同志に「勇気」と「希望」をあたえていく――。ここに、人間としての真の偉さがある。人格の輝きがある。
 学会でいえば、日々地道に広布の第一線で活躍されるリーダーの方々こそ、その尊き実践の姿であると実感する。(拍手)
23  学会は、真に人間を錬磨し、変革しゆく大地である。そのリーダーである皆さま方は、決して「組織悪の指導者」であってはならない。どこまでも「仏法と信心の指導者」として、みずからを鍛えぬいていただきたい。
 組織上の役職でも、社会的な地位でもない。一人の人間として、どれほど偉大であるか。どれほど豊かな「慈愛の心」の指導者であるか。これこそが肝要であると申し上げたい。(拍手)
 「無慈悲」の人には「知恵」は出ない。「慈悲」の人には、限りない「知恵」がわく。友の幸福と、社会の平和・安穏のための「知恵」が、生命の奥底から濠々とあふれ出てくるものだ。今、求められているのは、そうした慈愛と知恵のリーダーである。(拍手)
 最後に、これからの人生も、人類のため、社会のため、ともどもに広宣流布ヘと進んでいただきたい。大御本尊根本に、そして牧口先生のお心、戸田先生のお心を継ぎながら、すばらしく、朗らかな、壮大なる前進をお願いして、本日の記念のスピーチを終わりたい。
 (創価文化会館)

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