Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

第十七回本部幹部会 新しき創造には強き心を

1989.5.16 スピーチ(1988.11〜)(池田大作全集第72巻)

前後
23  さて、「ディックさん」の良さはどこにあるのか。最も大きな点の一つは、人の意見をよく聞くことである。とくに婦人部の意見は大切にし、一言一言に注意深く耳を傾け、真剣に対応している。また副婦人部長でもある光子夫人も、ご主人に、さまざまな状況を冷静かつ公平に伝え、適切な手を打っていくための大きな助けとなっているという。
 もう一つの点は、全力で青年の育成に取り組んでいることである。
 コーストン理事長自身、入信したのは五十代の時。もっと早くから信心していれば、との思いもあったにちがいない。ともかく、そうした思いを託すかのように、青年の育成に力を注ぎ、仏法に巡りあえた福運がいかに偉大かを伝えようとしている。
 現在、六十九歳。陣頭指揮を執り続ける若々しい生命は少しも衰えることなく、一段と輝きを増している。
 今も語り草となっているのは、六年前(一九八三年)、南仏・トレッツの欧州研修道場でのことだ。ここで、十八カ国五百人の代表が集い、ヨーロッパ広布二十周年を記念する夏季研修会が開かれていた。これには私も参加したが、コーストン理事長は、実行委員長として連日、不眠不休で準備にあたっていた。青年部が体を心配して、早く休んでくださいと勧めると、理事長は、「今、欧州は広布の草創期にある。自分の体をかばっている時ではない」と、厳として言ったという。
 ″あの人がいるからイギリスの同志は安心して活動できる″──そうした信頼のかなめとして、広布の基盤の構築に走り抜いてきたのがコーストン理事長なのである。
24  コーストン理事長は、青年たちにしばしば広布のリーダー像について語るが、彼の陸軍将校としての経験も、そこでは一つのリーダー学として生かされている。
 妙法に徹した人生を送るならば、さまざまな経験がすべて生かされ、人々に納得を与え、信頼を幾重にも広げる力となっていく。ここにすべてを生かしていく″かつの法門″としての妙法の素晴らしさがあるといってよい。
 彼は語る。──私がかつて輸送責任者の時、もし手を抜いていたならば、多くの兵士が死に直面したにちがいない。責任者はつねに、敵の立場、兵士の立場を考えて自己を見つめ、自己を律して行動すべきである。リーダーはそのように自分を訓練し、行動せねばならない。広布の戦いも同じである──と。
 また、″どんなに苦しくとも自己の責任と兵士の信頼を裏切ってはならない。責任感に立って考えれば、あぶないところやうまくいかないところ、手配されていないところが見えてくるものだ″とも述べている。
 自分自身に責任感がなければ、リーダーとして留意すべきところが見えてこない──みずからの体験に裏付けられたこの言葉は、指導者としての重要な要件を、鋭く突いている。
 さらに、第二次世界大戦においてイギリスのモンゴメリー将軍が、戦いを前にして全兵士を集め、なぜ戦うのか、現在どのような状況に置かれているかを演説したことを通して、こうも語っている。
 ──説明できないことは、やらせてはいけない。また、納得のないところに、団結も勝利もない──と。
 そして彼はモットーの一つとして、常々次のように述べている。
 ──一歩また一歩、着実に前進することが根本である。″のみ″で石を刻むように、こつこつと地道に、そして注意深く進める戦いが、最後は勝つ──。
 彼はこのモットーのまま、イギリス広布の草創期から戦い抜き、今や、盤石な基礎が定まっている。この堅牢けんろうなる妙法の宮殿を築き上げたコーストン理事長に、私は心から賛嘆の拍手を送りたい。
25  さて、私はまもなく、約一カ月にわたり、平和、文化、教育運動の道を開くために、また広宣流布の更なる展開のためにヨーロッパを訪問させていただく。留守中はどうか秋谷会長を中心に、堂々たる団結と見事なる戦いをお願いしたい。私もヨーロッパで、全力を尽くす決意であり、その模様は逐次ちくじ、日本の皆さま方にお伝えできると思っている。
 ともあれ、五月も六月も朗らかに、身も心も軽やかに、祈り、動き、素晴らしき人生の歴史をつづっていただきたい。私も日本の皆さまにお題目を送ります。現在のところ、帰国は六月下旬の予定であるが、帰国後はふたたび各地を駆け巡り、皆さま方とお会いできることを楽しみにしている。
 最後に、皆さま方のご健康とご活躍、朗らかな前進をお祈りして、本日のスピーチを終わらせていただく。

1
23