Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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第1回SGIパン・アメリカン諸国会議 広布新世界への船出

1987.2.14 スピーチ(1986.11〜)(池田大作全集第68巻)

前後
8  ある歴史家によれば、乗組員達に″引き返せ″と迫られた時、コロンブスは、あと三日以内に発見できなかったら引き返す、と約束をしたという。しかし、まさにその最終日の十月十二日、ついに彼らは新世界に出あうことができたのである。
 この「十月十二日」といえば、皆さまご存じのように、日蓮大聖人が、人類の苦悩の闇を開き、永遠なる幸福の人生を築きゆく根源である、本門戒壇の大御本尊を御図顕された意義深き日である。奇しくも、その記念の日に、コロンブスが苦悩の航海の波を越え新世界を発見したということに、時の不思議さを感ぜざるをえない。
9  ところで、偉大なる広布の指導者であった戸田先生は、一九五五年(昭和三十年)の年頭に、次の和歌をみ、私どもを激励してくださった。
   妙法の 広布の旅は 遠けれど
     共に励まし 共々に征かなむ
 当時の日本で、学会の世帯数は約十五万であった。その数からすれば、まさに広布ははるかなる旅路であった。そういう状況の中で、戸田先生は、広宣流布の旅程の遠いことを教え、短兵急たんぺいきゅうな活動の進め方を戒められたのである。
 この、はるかなる遠征の旅路を、仲良く、共々に励ましあいながら、一人の落後者らくごしゃも出さずに、元気に目的地に達しよう、と。
 また、戸田先生は、若き青年リーダーの集いである「水滸会」の席上、世界広布の構想を次のように語っておられた。これについては、小説『人間革命』(第七巻)の中につづっておいたが――。
 「そもそも御本尊は、一閻浮提いちえんぶだいのための御本尊であります。全世界の太陽を意味しておられる。決して日本一国のため、というような偏狭な国家主義的なものではない。御本尊の絶大な哲理のお力を信ずることができるならば、世界の広宣流布の道程も必然なことです。まず日本における証明が確立されるならば、時代の潮流は、それを世界広布へと運ぶことは、自明の理ではないか。今のところ、世界の民衆は、まだ夢にも御本尊の存在を知らないでいる。しかし、物質文明のきわまるところに、早くも人類滅亡のきざしを感じています。遠からず、それが不可避だと、悟る時がやってくる。その時、民衆は大御本尊の存在に気づいて、渇仰かつごうするに決まっている」
 さらに「その人びとを、いったい誰が指導するかといえば、まず諸君たちであり、また諸君たちの後輩や子孫のなかにしか、指導者は育たないのです。
 今は、そういっても、ずっと先のことを言っているように思うだろうが、物質文明の行き詰まる速度は、意外に速いようだ。十年、二十年のことではないにしても、二十一世紀まではかからないだろう。これは、もう確定的なことといって差し支えないことです。こういう時代が到来した時、君たちはいったいどうするつもりか? 君たちの生きねばならぬ時代なんだよ!」と。
 まさに世界は戸田先生の言われた通りの時代に入ってきた。皆さま方の広布の活動が、日一日と重要になり、光彩を放っていくのである。どうか、それぞれの国にあって、よき国民、よき市民として地涌の誉れ高き使命の道を歩み抜いていただきたい。
 皆さま方の「ご健康」と「ご多幸」と「ご活躍」を心から念願し、本日のスピーチとさせていただく。

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