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日蓮大聖人・池田大作

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長寿の秘訣 学会活動こそ長寿の軌道

「健康対話」(池田大作全集第66巻)

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7  信心に定年はない、広宣流布に引退はない
 森田 長寿者には、「目標をもって生きる」方が多いです。生きがいもなく、毎日を漫然と過ごすのでは、心に張りがありません。
 池田 大事なことです。目標を見失い、惰性に流されるだけの人生であっては、むなしい。
 トルストイの『戦争と平和』には、ある伯爵夫人が、運命にほんろうされて、生きる意味を見失った姿が描かれています。
 「彼女(=伯爵夫人)は自分が偶然この世におき忘れられた、もういっさい目的も意味も持たぬ人間のように感じた。彼女は食い、飲み、睡り、醒めていたが、しかし生活してはいなかった。もはや人生は彼女に何の印象もあたえなかった」(米川正夫訳、岩波文庫)
 自分が生きる意味、存在する価値を見失うことほど、人間にとっての悲劇はない。
 森田 本当にそう思います。何かに依存する生き方は、それがあるときはいいですが、失うとガックリくるものです。
 池田 その意味でも、大きな目的のために貢献していく生き方は強い。
 私の尊敬する友人である、ノーベル平和賞受賞者ロートブラット博士(パグウォッシュ会議名誉会長)は現在、九十五歳。(=二〇〇五年八月、九十六歳で逝去)
 一九八九年十月、大阪で初めてお会いし、二〇〇〇年二月、沖縄で再会しました。今もなお、平和のために、正義のために戦い続けておられる。
 中泉 核兵器の廃絶を訴えた「ラッセル・アインシュタイン宣言」の十一人の署名者のなかで、唯一の生存者ですね。
 池田 「健康長寿の秘訣」を聞かれて、博士は語っておられる。
 「一つの大きな目標に向かって、わき目もふらずに進んできた。それが生きがいになっていると思う」(「聖教新聞」一九九五年十月十五日付)
 私との対談のさいも、「私は『疲れる』ことを自分に許さない」と意気軒高に語っておられた。
 博士に比べれば、私どもは、まだまだ若い。まして、信心に「定年」はない。広宣流布の舞台に「引退」はない。ゆえに、戦って戦って戦い続けることです。
 笹川 入院患者さんを見ていても、明確な目標を持って、「生きぬこう」「病気を治そう」と取り組んでいく方は、回復や社会復帰も早いです。
 池田 中国の文豪・魯迅は、つづっています。
 「自己満足しない人間が多くいる種族は、いつまでも前進し、いつまでも希望をもつ」(『魯迅選集』6、増田渉訳、岩波書店)と。
 自分に勝とう、自分を乗り越えていこうとする人には、前進があり、希望がある。そして、若々しい。いつも、はつらつとしている。いわんや、「広宣流布」という、水遠の希望に進む私たちには、大いなる目的があり、生きがいがある。これほどの幸福はない。
8  人に尽くせば新しい生命力がわく――日々、新しい一日
 笹川 生きがいと聞いて、白樺会の先輩を思い出しました。埼玉県所沢市に住む白樺会の先輩は、現在七十四歳。現役の助産師さんです。
 これまでに取り上げた新生児は一万二千人を超え、親子二代にわたって取り上げた方もいます。
 池田 白樺会の模範の方ですね。
 笹川 先輩のモットーは「だれかのために尽くすところに、新しい生命力がわく」というものです。新生児を取り上げることは、自身の中に喜びと新たな力を生むのだそうです。
 池田 どういうきっかけで助産師になられたのですか。
 笹川 じつは、先輩は、長男を出産わずか四時間後に、二男を生後四日後に病で亡くされています。
 三男こそ、やっと無事に育ちましたが、「私と同じような悲しみを味わう人が出ないように、少しでも力になれれば」と、本格的に助産師として生きる決意を固められたのです。
 池田 そうしたご自身の体験があればこそ、多くの人を支え、勇気づけてこられたのでしょう。偉大な勝利の人生です。人のために、わが身をなげうって働く――多宝会、そして白樺の友は、まさに「健康の世紀」をリードしておられる。
 中泉 これまで数多くの入院患者さんと接してきましたが、学会の中で広宣流布のために戦ってこられた方は、皆さん、入院してからも同じ姿勢を貫いています。
 自分自身がいちばん、大変な状況に置かれていても、「どうやって、みんなを激励しようか」と考えています。
 本当にすごいことだと思います。そういう方は、病に対しても強いのです。
 池田 パグウォッシュ会議の会長であるスワミナサン博士も語っていました。博士は現在、七十八歳です。
 高齢者が、健康長寿で生き生きと暮らしていくために何が大事か――。
 それは「『自分のため』だけではなく『他の人々の助けになりたい』という目的です」。
 そして「『ただ生きている』以上のことをすれば、毎日が楽しくなります。毎日が『新しい一日』になります。毎日が『新しい夜明け』になります」と。
 「人のために生きる」ことこそ、真に健康な生命であり、そして、最高の長寿の秘訣というのです。
9  「生き生きと、永遠に前へ前へ」
 森田 「人のために生きる」といえば、伊浜区の高齢者に、どんな生きがいを感じているのか尋ねたところ、女性でいちばん、多かった答えは「公共物の掃除」でした。老人クラブの建物などを掃除するのを楽しみにして、満足感を味わっていたのです。
 こうした傾向は、女性ばかりでなく、この地域の長寿の方に共通した生活感と考えてよいと思います。
 というのは、先ほど述べた「老人八訓」に「役に立て」という項目もありました。さらに各家庭には「日常の五心」というのも掲げられていて、そこには「ワタシガシマスと言う」とありました。いずれも「奉仕の心」を表した標語だと思います。
 池田 沖縄の高齢者の調査からも、社会に積極的にかかわっていくことが、長寿の要因であることがわかっていますね。
 森田 高齢化がさらに加速する二十一世紀には、皆が生涯にわたって元気で働き続けられる社会環境を整えていくことも不可欠です。
 池田 いずれにせよ、学会員の皆さまは、広宣流布という「大目的」に向かっている。真実の「楽観主義」で進んでいる。エゴと独善がはびこる、社会の現実の真っただ中で、法のため、人のため、社会のために即応くし、みずから「生きがい」と「希望」をつくっている。どれほど尊い人生か。これ以上の健康長寿の軌道はない。
 ホイットマンは詠っています。「永遠に生き生きと、永遠に前へ前へ」(木島始編訳『ホイットマン詩集』思潮社)と。
 だれもが生き生きと生きられる「長寿社会」の真髄は、日蓮仏法にあり、創価学会にあることを確信して、生涯、希望に燃えて前進しましょう。

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