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日蓮大聖人・池田大作

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疲労回復のカギ 朝の勝利は、健康の勝利

「健康対話」(池田大作全集第66巻)

前後
7  いきなり湯船には入らない
 森田 入浴は、血行がよくなって、疲れや筋肉の凝り、痛みを和らげてくれます。
 中泉 尿や汗が出やすくなり、体内の老廃物も排泄されやすくなります。血圧を下げる効果もありますし、ストレスも解消されて、気分も新鮮になりますね。
 池田 仏典にも、入浴の効能が記されています。この「入浴」には現在の蒸し風呂もふくまれているようですが、(1)呼吸を楽にする*(2)病の平癒を得る*(3)ゴミや垢を除去する*(4)疲れをとり、体を軽快にする*(5)肌をきれいにする、というものです。(「増一阿含経」)
 最近、入浴剤も流行しているそうですね。
 笹川 はい。入浴剤は、保温効果のほかに、香りなども楽しめ、気分もリフレッシュされます。ゆず湯やしようぶ湯は有名ですが、ミカン、レモンなど、かんきつ系の皮や大根の葉っぱなども保温効果があります。
 池田 入浴をさけたほうがいいのは、どんなときですか。
 森田 食事の直前直後、運動の直後、お酒を飲んだあとはさけてください。もちろん、風邪などの病気の場合も控えたほうがいいと思います。
8  「健康」になるための信心――浴室での事故を防ぐ
 池田 ほかに入浴で注意すべき点はありますか。
 笹川 いきなり湯に入らずに、足先から「かけ湯」をして、お湯の温度に体を慣らしてください。そのあと、ゆっくりと湯船に入る。急に肩までつかると、心臓や肺に負担がかかります。
 中泉 先ほども言いましたが、熱い湯だけはさけてください。急に熱い湯船につかると、血圧が上がり、脳出血を起こすことがあります。また、汗も出やすく、利尿効果で脱水ぎみになり、血液が固まりやすくなります。血栓ができて血管を塞いでしまうと、心筋梗塞、脳梗塞などを起こすことがあります。
 森田 前回、家庭内の事故が意外に多いという話をしましたが、そのうち、お風呂での死亡事故は交通事故死よりも多く、年間一万五千人とも言われています。
 笹川 とくに高齢者は要注意です。体力が落ちているため、山に登ったときと同じくらいの疲れを感じると言われています。
 池田 お年寄りを浴室での事故から守るためのポイントは、どうでしょうか。
 笹川 血圧の変動が見られる、服を脱いだとき、湯船に入った瞬間、風呂から上がったときの三つに注意してください。
 中泉 具体的には、(1)家族に一声かけてから入る*(2)入浴前後にコップ一杯の水分を補給*(3)冬期間は脱衣場、浴室をよく暖めておく*(4)風呂の温度はつ三八度から四〇度*(5)入浴時間は十分程度*(6)半身浴で心臓に負担をかけない*(7)湯船から急に立ち上がらない――以上になるでしょうか。
 池田 どれも大切です。たかが入浴と油断すると大変な事故になる。
 森田 とくに「激しい温度差」は注意が必要です。寒いというだけで、血圧が上がりますから。
 池田 たしかに、浴室から温度差のある脱衣場に急に出たときに、倒れる場合が多いですね。
 中泉 そうなんです。ですから、浴室と脱衣場との温度差を小さくするなどの工夫が必要です。
 心臓病や高血圧の人も十分な注意が必要です。
 池田 それと台所やお手洗いなど、家の中で寒い所は、少しでも暖かくしたほうがいいですね。
 笹川 寒い時には足元も大切です。厚い靴下をはいたり、じゅうたんを敷いたり、いろいろと考えてください。暖房器具をトイレに設置されている方もいらっしゃいます。
 池田 外出するときも大事です。「寒いところにこれから出ていくんだ」と、心構えをし、寒さに対して心も体も備える。意識せず、ぼんやりしたまま、ぽっと出ていくのは良くありません。
 また、湯船から出るときもそうですが、勤行が終わったあとも、体温や脈拍が上がっているので急に立ってはいけない。呼吸を整えながら、ゆっくりと立ち上がることです。
 笹川 先ほどもあったように、声かけも大切だと思います。家族の知らないうちに浴室で倒れ、大変、危険な状態におちいったというケースをよく聞きます。
 池田 そのとおりですね。
 いずれにしても、長い人生です。一日一日、賢明に、生き生きと働き、はつらつと毎日を生きていきたい。
 何となく惰性と習慣で夜ふかしし、朝も寝坊してしまう。それでは悪循環である。疲労もとれないし、正しい信心即生活のリズムとはいえない。
 「健康」になるための信心です。「価値ある人生」のための仏法です。朗々たる唱題で智慧と生命力をわかせ、「さあ、きょうも働こう」と、さわやかな朝の出発ができるよう挑戦していきたいものです。

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