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日蓮大聖人・池田大作

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歴史を変えた病 人類の歴史は病気との闘争

「健康対話」(池田大作全集第66巻)

前後
19  壁を破った勇気と挑戦
 池田 だが、ひとくちに「一千万人分の生ワクチン」といっても、製造はなみたいでいではない。「十日以内に零度に保って空輸」という、日本政府の無茶な要求や、国家やイデオロギーの障壁、官僚の緩慢な対応――一切の壁を破ったのは、ソ連医学者の勇気と挑戦でした。
 モスクワ郊外のポリオ研究所では、二十四時間、不眠不休でワクチン製造にあたった。「あのとき、私たちは真剣でした。まさに″戦い″でした」と、当時の研究員は語っている。
 それは、「人間の生命と健康は断じて守らなければならない。そのためには国境など関係ない」との、医師としての使命感、責任感そのものだったのでしょう。
 森田 一九九六年に、難民医療調査団の一員として、ネパールの難民キャンプを訪れたときのことが、私は今でも忘れられません。重度の口蓋裂の子どもを前に、″医療が充実していれば、治療できるのに″と、何度も悔しさがこみあげてきました。
 浅川 同行した白樺会委員長も話していました。中耳炎を繰り返している子どもも多いそうです。完全に治りきらないうちに、汚れた川で泳ぐなどして、慢性化してしまう。もっと衛生教育がなされていればと、残念な思いにかられたそうです。
20  目的は一つ――苦をのぞくこと
 池田 そうです。教育が大切です。
 ともあれ、「健康」「生命」にまさる宝はありません。
 大聖人は仰せです。「生命というものは、あらゆる財宝のなかで最高の財宝です。『宇宙に遍く敷き満つる財宝といっても、身命に値するものはない』と経文に説かれているように、宇宙に満ちあふれた財宝であっても、生命にはかえられない」(御書一五九六ページ、通解)
 「命こそ宝」との思想を広げていく――「健康な地球」も、この一点から出発するのではないでしょうか。
 その意味で、医師や看護師の皆さんが果たす役割はきわめて大きい。
 森田 責任を痛感します。
 池田 また、エイズやインフルエンザのような感染症から、尊き生命を守るためには、ますます国境を超えた医療体制の充実・整備が必要になってくるでしょう。「自分の国さえよければ」という考えでは、とうてい病気を撲滅することなどできない時代に入っている。
 健康も平和も目的は一つ――民衆の苦を取り去ることです。人類は、この目的のもとに、人種や民族、思想や利害を超えて団結しなければならない。
 「平和」という「人類社会の健康」を、どう実現していくか――これが二十一世紀の課題であり、創価学会の挑戦です。
 仏法の目的も、「民衆の苦をとりさる」ことにあります。そして、仏とは、民衆のあらゆる苦悩に対して「抜苦与楽(苦を抜き、楽を与える)」の行動に徹する人のことです。私たち一人一人が、この行動に生きぬくことが広宣流布であり、「平和即健康」の社会を実現する道なのです。

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