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日蓮大聖人・池田大作

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高齢者介護 愛情と智慧にあふれた長寿社会を

「健康対話」(池田大作全集第66巻)

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17  公的サービスを積極的に利用
 稲光 家族だけで介護をしていると、学会の会合や地域の行事への参加や、家族で出かけることもむずかしいこともあると思います。介護でわからないことや相談したいこともあると思います。こうした場合の助けになるものに、公的介護サービスがあります。
 池田 どんなサービスがありますか。
 小島 (1)携帯用トイレやベッドなどの介護用品の提供*(2)入浴サービス*(3)施設に送迎してくれ、日常生活の訓練などをしてくれる「デイケア」*(4)一時的にお年寄りを預かってくれる「ショートステイ」*(5)介護のアドバイスや食事、排泄、入浴などの介助をしてくれる「ホームヘルプサービス」などがあります。
 松本 費用は各自治体によって異なりますが、認知症の専門医や、保健師、「シルバー110番(高齢者総合相談センター)」、地域の福祉事務所在どに相談するとよいでしょう。
 池田 自分の親は自分で看るという責任感は大切です。しかし、社会的なサービスは、利用していくほうが価値的ですね。
 稲光 そう思います。もともと、欧米に比べて日本の介護は、家族の負担が大きいのです。現在、「白樺」のメンバーのなかにも、訪問看護ステーションを開設している方が増えています。地域のお年寄りを中心に、実際に介護の手助けをしたり、介護の相談を受けています。
 小島 介護は家族や身内の範囲で続けていくものではありません。広く社会的な、ネットワークを活用して行うべきです。
 松本 現在(一九九六年)、わが国では、介護が必要な人が二百万人を超えていると言われています。高齢化が頂点を迎える二〇二五年には五百二十万人になるとされています。(一九九六年度版「厚生白書」参照)
18  「お年寄りを大切にする文化」を育てる
 池田 大変な問題だが、決して後ろ向きにだけ考える必要はないと思う。この問題を契機に、社会全体が「お年寄りを大切にする文化」を育てることが大切ではないだろうか。それは即、「人間を大切にする文化」に通じる。家庭でも社会でも、そういう心豊かな文化を育て、具体的なネットワークとして結実していく努力が必要だと思います。
 若さには若さの、老年には老年のすばらしさがある。お年寄りのさまざまな人生体験も、かけがえのない社会の宝です。また「老人ほど人生を愛するものはなし」(ギリシャの作家ソフォクレス)という言葉もあります。確実にやってくる長寿社会を、「人生への愛情」と「人生の智慧」に満ちた社会にしたいものです。

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