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日蓮大聖人・池田大作

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周囲はどうする?  

「希望対話」(池田大作全集第65巻)

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13  「子どもが何も話してくれない」
 ―― よくわかりました。
 もう一点だけ、親御さんから「子どもの様子が何かおかしいのですが、いくら聞いても、話してくれないんです」という相談があったのですが……。
 池田 それは心配でしょうね。ただ、苦しくて、苦しくて、言いたくても言葉にならない。どう話していいか、わからない……そういう気持ちも、わかってあげてほしいと思います。
 それに、子どもにだって、プライドがあります。自分がいじめられている状況は話したくないという気持ちもあるでしょう。いじめによって、その子のプライドは、ますます繊細になり、ピリピリしています。
 そこにもっていって、「いじめられているんじゃないの?」「話して、話して」と″追及″されることは、苦痛です。
 だから、ともかく、「自分は、何があっても、あなたが何をしても、あなたの味方だ」というメッセージを、繰り返し、繰り返し、心に染み入らせることではないでしょうか。そうやって、「そばにいてあげる」だけでいい場合がある。その「愛情」さえ伝われば、それが「支え」になるのです。
 もちろん、なかには、「自分の子なんだから、遠慮していてはならない」と思う方もいらっしゃると思います。それはそれで正しいです。子どもが逃げても、追いかけて、抱きしめて、追いすがってでも、「私は絶対にあなたの力になる」ことを、とことん伝えていく。とことんつき合って、話を聞き出していく。
 どちらを選ぶかは、まさに家庭しだいです。ふだんのコミュニケーションの密度にも左右されます。
 いつもは対話らしい対話もないのに、問題が起こって、いきなり「何でも話して」と言っても、そう簡単ではないでしょう。
 ―― ある中等部員は、いじめにあっていることを親に話したとき、「一生懸命に話そうとするんですが、自分で何を言っているのか、わからなくなっちゃうんです。口からいろんな言葉が出るけれども、つじつまがあわなくなるんです」と言っていました。それほど、子どもたちの心は激しく揺れているんです。
 池田 だからこそ、何時間でも、何日でも、根気よく、「聞き役」に徹していただきたいのです。子どもたちは、話すことで、自分の頭を整理して、自分で解決方法を見つけていくこともあるのです。
 だから、まずは、「アドバイスする」ことよりも、「心をからっぽにして、ただただ聞く」くらいの気持ちでいいのではないかと私は思います。
 また、たったひと言、ぼつりと言った言葉でも、大事にしてください。その「ひと言」に「せいいっぱいの思い」がこめられているのです。
 ともかく、どんな場合でも、親御さんこそ、子どもたちにとって、最大の味方です。最大の「安心感」を与えてあげてほしいと思います。
 ―― 担当者も、何かできることがあれば、何でも応援したいと思っています。遠慮なく、身近な先輩に連携をとってみてください。もちろん相談を受けた担当者は「プライバシー(個人的なこと)は厳守」でお願いします。
 池田 大事なことだね。「口が軽い」幹部は、最低の幹部です。
 ―― ある担当者は、「何か悩んでいそうだ」と感じると、その子を車に乗せて走るんだそうです。目的地もなく、特別な話をするのでもなく、″ただ走る″だけなんです。もちろん、安全には十分注意してです。そして最後にいっしょに「ラーメンを食べる」んです。
 池田 いろんな知恵があるんだね。頼もしいね!
14  「受け入れてくれる人がいたから」
 池田 中学生のこんな詩がありました。
 「悲しくて つらい時もあった/何もかも捨てて逃げたい時もあったんだ/だけど がんばったよ/私を受け入れてくれる人が一人でもいたから/認めてくれる人が一人でもいたから……/うれしかったから……/まだ 心の中は不安と恐怖と孤独で いっぱいだけど/信じてくれる人のために/認めてくれた人のために/……それと自分のために/だから″負けないよ 絶対に″」
 心ある人みんなが、全国で、全世界で、駆けずりまわって、いじめられている人に伝えてほしいのです。
 「君は、一人ぽっちじゃないんだ!」と。

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