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日蓮大聖人・池田大作

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親に反発してしまう  

「希望対話」(池田大作全集第65巻)

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7  悩みがあるから「大きな自分」に
 池田 そして、子どものほうは、夫婦げんかを見ても、「あ、またやってるな」(笑い)、「生きてる証拠だ」(笑い)、「きょうは、ちょっと声が小さいけど、元気ないのかな」(笑い)――というくらいの気持ちで、いちいち落ちこまないことだ。「自分は自分」なんだから!
 自分が怒られても、家が貧しくても、人にばかにされることがあっても、悠々と笑って、青空を仰いで、「こうやって、自分を強い人間にしてくれているんだ!」「自分を大きな大きな人間に鍛えてくれているんだ!」と思うことです。
 また片親であるとか、親が病気だとか、そういう大変な山を乗り超えた人のなかから、立派な人物が出るものです。
 ―― 中学生くらいになると、親のことが、ある程度、客観的に見えてきます。「親だって完璧な人間じゃない」と。
 池田 そういう自分だって、完壁な人間じゃないよ(笑い)。それに、もし親が完璧な人間ならば、そっちのほうが困るよ。文句もつけられないし、反抗もしにくいよ。(笑い)
 ともかく、親の欠点を数えていても、何にもならない。どんな親でも、親は親です。親がいなければ、自分は生まれてこなかった。
 今、「自分には何もない」と悩んでいる人も、いるかもしれない。しかし今、どんな状況にあろうとも、あなたには「生命」がある。「生命」の力は、無限です。その無限の力を引き出すのが仏法の信仰だが、ともかく、あなたは生命という「最高の宝」をもっている。
 ご両親が生み、育ててくれたおかげです。その一点だけでも、「私は、ありとあらゆる宝を与えられた」と思うべきです。
8  親の心がわかる人が「大人」
 親は苦労を見せないが
 池田 しかも今、社会は不況です。経済的に大変な状況です。そんななか、親御さんは必死になって育ててくれているのです。
 そういう苦労は、あまり見せないかもしれないが、親の苦労もわからず、ただ不満をぶつけるだけなら、まだまだ「子ども」だと言われてもしかたがない。それでは、あまりにもさびしいし、親子ともに不幸です。「一人の人間」として、親を理解してあげられる人が大人です。
 本来、どんな親でも、子どもが憎いわけがない。みんなを大事に大事に思っている。みんなが「こうしてほしい」と思う愛情とは違うかもしれないけれども、強い愛情をもっている。顔を見たら「勉強しなさい」としか言えない、不器用な愛情表現かもしれないけれども、それでも心に愛情をもっている。
 みんなから見たら、親は「いばっている」ように見えるかもしれないが、本当は、「子どもの顔色を見ている」ことが多いのです。厳しく叱った後など、「言いすぎたかな」「大丈夫かな」と、はらはらしているものです。
 ともかく、親の気持ちというものは、みんなが親になって、初めてわかるものです。それまでは、わからないんです。
9  親は「私はあなたの最大の味方」と伝えてほしい
 池田 その一方で、親御さんのほうでも、できるかぎり、子どもに「私は、あなたの最大の味方なんだ」という気持ちを伝えてもらいたいと思う。黙っていても通じる場合もあるが、そうでない場合も多い。
 「私は、あなたが、どんなふうになっても、絶対に、あなたを守る。あなたを支える。あなたが『いい子』だから愛しているんじゃない。『勉強ができる』から大事にするんじゃない。『がんばっている』から好きなんじゃない。あなたがあなただから好きなんだ。もしも、世界中の人が、あなたを非難しても、みんながあなたをいじめても、私だけは絶対に、あなたを守る! あなたは、私だけは信じていいんだよ!」と。
 あらたまって、そんなことを言う必要はないが、「心」もやはり、何らかの「かたち」にして伝えないと、わからない面がある。″雑音″の多い現代は、なおさらです。
 「ありのままの自分を、そのまま受け入れてくれる人」が一人でもいれば、「自分の幸せを自分以上に喜んでくれる人」が一人でもいれば、「その人がいる」と自覚していれば、人間は、そんなに大きく道を誤らないものです。お子さんを「一個の人間」として尊敬し、信じてあげてほしいと思うのです。そして、子どもは、時々「休む」ことがあるものです。それは親から見たら、怠けているだけのように見えるが、次へのエネルギーを「充電」している場合も多いものです。半年くらいしたら、また元気にがんばりだすことも多い。ゆったりと包んであげたほうがいいときに、追いつめると、逆効果になる場合があります。
 子どものために「よかれ」と思ってしたことが、かえって裏目に出る場合もある。本当にむずかしい。しかし、時間がかかっても、粘り強く乗り越えれば、かけがえのない経験となって光るものです。
 長い目で見てあげてください。親の愛を求めていない子はいません。親が信じてあげなければ、だれが信じてあげられるでしょう。
 あとは、叱らなければいけない場合も、「父母が同時には叱らない」――子どもは行き場がなくなってしまいます。
 また「他のきょうだいや、よその子どもと比べない」ことも大事だと思います。なにげない一言に、子どもは深く傷つくものです。
 人の子の親にとって、むずかしい時代ですが、なんとか工夫して、子どもと「心と心のギア」を、かみ合わせて、乗り切っていってほしいと思います。
 どんな子も、全員が、一人残らず、「二十一世紀の宝」なのですから!

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