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日蓮大聖人・池田大作

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歴史に学ぼう!  

「希望対話」(池田大作全集第65巻)

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8  皇帝の誕生祝いにアフリカの山
 池田 アフリカの分割では、こんなエピソードも伝えられている。
 東アフリカのタンザニアには「アフリカ最高峰」の山、キリマンジヤロがある。よく見ると、ここだけ「定規の線」が、くっと曲がって、山をタンザニアの国に入れるようになっている。
 なぜかというと、タンザニアを支配することになったのはドイツの皇帝だったのですが、会議の途中で、「陛下の誕生日のお祝いに、何か差し上げましょう」と聞かれて、「それでは雪の山を一つ、もらいましようか」と希望したからだというのです。
 ―― まったく、とんでもない傲慢ですね! アジアを侵略した日本も同じですが……。
 池田 こんな具合だから、ずっといっしょに暮らしてきた人たちのグループが、国境線で別々の国に弾き裂かれたり、まったく違うグループだったのに、突然、同じ国の「国民」にさせられてしまった。国によっては、「支配するグループ」と「支配されるグループ」が固定されてしまって、互いに″憎しみの炎″を焚きつけられた場合もある。
 ―― 自分たちで争いの″もと″をつくっておいて、紛争が起こると、武器を売って、もうけた大国もあります。
 池田 紛争が起これば、「難民」が生まれる。それがアフリカの「飢餓」にもつながっています。
 アフリカは、本来は「貧しい大陸」なんかじゃなかった。「発展が遅れた国」でもなかった。全部無理やりに、そうさせられたのです。「暗黒大陸」と呼ばれたこともあったが、「光」を奪い、「暗黒」をもってきたのは、帝国主義者だった。「暗黒」は、そういう暴力主義者たちの心の中にあったのです。
 ―― アフリカの人たちは、めちゃくちゃに、ひどい目にあってきたのですね。
 池田 私が対談したトインビー博士は、アフリカ人の強さについて語っておられた。「これが他の人種だったら、おそらく滅んでしまったでしょう」(『二十一世紀への対話』趣意。本全集第三巻収録)と。
 それほどの苦しみを乗り越えてこられた方々です。
9  二十一世紀を「アフリカの世紀」に!
 池田 私は「二十一世紀は、アフリカの世紀」と四十年も前から訴えてきました(一九六〇年十月、ニューヨークの国連本部を初訪問した折から)。いちばん苦しんだ人たちが、いちばん幸福にならなければいけないからです。また、全人類が「アフリカの生命力に学ぶ」必要があると思うからです。
 先日(二〇〇〇年五月十三日)も、ナイジェリア連邦共和国をはじめ、「二十一世紀の大陸」の友好使節の方々を、四十人以上も創価大学にお迎えしました。(ナイジェリア北部州連合商工会議所から、名誉会長に「国際最高貢献賞」が贈られた)
 ―― よくテレビでもアフリカをリポートしたりしていますが、子どもたちの顔がとってもきれいですよね。
 ウワーッて集まってきて、瞳がきらきらして、なんだか「生きる力」を感じます。
 池田 アフリカから、いっぱい学ぶことがある。なんでも「みんなで分け合おう」という心もそうです。お年よりの「知恵」を大事に敬う文化もそうです。自然と調和して暮らしていく生き方もそうです。それらに「学ぼう」という心が大事なのです。
 創価学会の「学会」というのも「学ぶ会」です。「学ぼう」という心で、みんな集っているのです。相手に「学ぼう」という心は、「暴力」と反対です。そこから、人間らしい交流が生まれてくるのです。
 ―― きょうのように、「歴史から学ぶ」ことも大事ですね。
 池田 アフリカの「まっすぐの国境線」――それは、「人を引き裂く暴力」の象徴だった。だから、その地図から「暴力には、絶対に反対だ!」という信念を学びとってほしいのです。
 どんな理屈をつけても、暴力に訴えた人は敗北者です。他の人を尊敬できる人、他の人たちから学ベる人、他の人と仲良くできる人。その人が本当に「強い人」なのです。
 今、アフリカの各国でも、SGI(創価学会インタナショナル)の同志が、目覚ましい活躍をしています。また、中等部の多くの先輩たちも、アフリカに雄飛して、大いに貢献しています。
 二十一世紀に、アフリカの友といっしょに、「心の国境線」をなくして、平和の地球を築いていくのが、みなさんなのです。

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