Nichiren・Ikeda
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「ダメな人」なんていない
「希望対話」(池田大作全集第65巻)
前後
7 ″ダメだ″と思うと脳にブレーキがかかる
一番の敵は?
池田 では、脳にとっての一番の敵は、何だろう?
それは、「ダメだ!」と、あきらめてしまうことです。「ダメだ」と思うと、脳に「ブレーキ」が、かかるのです。
あきらめてしまうと、脳自身が、せっかくコードを伸ばそうとしているのに、「ダメだ」という信号に「邪魔」されて、肝心のコンセントに接続されない。だから、わからないものは、わからないままになってしまう。
―― すると、「頭が悪い」んじゃないのですね。プラグをコンセントに差しこまないようにしているだけなんですね。
脳は勉強好き
池田 脳はもともと「勉強」が好きなんです。「学ぶこと」が好きなんです。それなのに、「ダメだ」という気持ちによって、自分で自分の脳が動かないように、縛りつけてしまっているのです。
―― しかも、「自分は生まれつき頭が悪いから」と言って、努力せず「言いわけ」にする人もいます。それでは本当に頭も心も錆びついてしまいます。
池田 「生まれつき頭がいい」ように見える人も、人の見えないところで努力しているものです。
だから結論を言えば、「頭がいい人」というのは、「絶対にあきらめない人」です。わからないことから逃げるんじゃなく、「何としても、わかろう」と「攻めていく人」です。その「強い心」の人が、頭のいい人なんです。
社会に出ても、「わからないこと、苦しいことから逃げない」という心がある人は、必ず勝っていきます。そのために今、みんなは頭脳と心のトレーニングをしているのです。
―― 「わからない」と思ったときに、「あきらめるか」「一歩前へ進むか」の差ですね。
池田 今、手紙の君が「取り残されているんじゃないか」と悩んでいる。その悩みが尊い。私は、そう思う。「前に進もう」としているから「壁にぶつかる」のだから。
前進しようとしていない人は、壁にぶつからない。だから悩まない。悩まないから成長がない。
勉強がわからない――つらい。苦しい。だけど、そこが忍耐のしどころです。逃げちゃいけない。
8 何か一つ得意なものを
池田 できるところから始めることです。できれば、がんばって「自分はこれが得意だ」というものを「一つ」つくってください。
「自分はやればできるんだ」という自信が、「頭がよくなる最高の薬」です。
体育とか音楽とかクラブでもいい。人間の脳というのは、何か一つのことをやりとげられたら、他のことにも、自然と応用できるようにつくられているのだから。
「わからない」ことや、「勉強のやり方」を、勇気を出して、学校の先生に質問するのもいいんじゃないだろうか。授業中がダメなら、休み時間や放課後でも。最初は、恥ずかしいかもしれないが、まわりは内心、「あいつ、たいしたもんだな」と思っているものです。
先生方も、質問してくれる生徒は、かわいいんです。だまって、わかったふりをしているより、何倍もかわいい。
―― 「ある程度、わかっている」と思っていることでも、質問したら、もっとはっきりするし、思いもよらなかった「発見」があるかもしれません。
9 へこたれず「全力で努力する習慣」を
学校の勉強は「義務」ではなく「権利」
池田 勉強は苦しい。苦しいからこそ、「わかった」ときに楽しい。苦しみと喜びは一体です。何でも、そうです。
こんなことを言うと、ご両親や先生に叱られるかもしれないけれども、一生懸命に努力して、それでも成績が上がらなかったら、それはそれでいいと私は思う。
一時の結果よりも、大事なのは、「努力するくせ」をつけることだからです。勉強でも何でも、全力を出す「くせ」をつけることだからです。
もっている力を出しきる「くせ」をつければ、どんどん「力」が出てくるのです。そういう「くせ」をつければ、自分の「使命」も、やがてわかってくる。
自分という「宝の山」の鉱脈を掘り出す「シャベル」――それが「全力で努力する習慣」なんです。「へこたれない」習慣がつけば、時間がかかっても、必ず、「結果」は出ます。結果が出るまで、あきらめないことです。
そもそも勉強は、自分の「権利」です。「義務」ではない。世界には学校で勉強したくても、できない中学生も、たくさんいるのだから。
―― 「義務」と思うと「受け身」になって苦しくなります。しかし、「権利」と思うと「攻め」になって、気持ちが楽になりますね。
10 人と比べず自分の道を
池田 ともかく中学の三年間には、いろいろなことがあるでしょう。楽しいときは、一瞬のうちに過ぎ去っていく。反対に、苦しいときは、「永遠に続くのではないか」と思うかもしれない。
しかし、振り返ってみれば、中学三年間は、あっという間に過ぎ去ってしまうものです。だから忍耐です。「耐えたものが勝つ」と思ってください。
他人と比べても、しようがない。「うさぎとかめ」で、「かめ」が勝ったのは、別に相手が「うさぎ」だったからじゃない。
「かめ」は、相手がだれであろうと、ただ自分の道を、自分の全力で、休まず、あせらず、一歩一歩、歩んだのです。その人が最後に勝つ。
「他人に勝つ」ことよりも、「今までの自分に勝つ」。それでいいのです。「きのうの自分」よりも、きょうは一歩、前へ進んだ。「きょうの自分」よりも、あすは、これだけがんばろう。
そういう一日一日であってほしいのです。