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日蓮大聖人・池田大作

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関西創価中学・高等学校第21回、創価中… 生涯「学びの道」「勇気の道」を

1996.3.17 教育指針 創価学園(2)(池田大作全集第57巻)

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3  不幸をバネに大きな勝利ヘ
 女史は言っておられた。「若くして夫を亡くしたからこそ、逆に香港大学にも学べたし、絵の勉強も深められたのかもしれません」と。
 ここが大事である。不幸をバネに、よりいっそう、強くなり、よりいっそう、大きく勝利してみせる――そういう心をもつかどうかである。
 日蓮大聖人は「状況がよいのは不思議、悪いのは当然と思え」と言われている。また「聖人・賢人は、ののしることで本物かどうかためされるものである」とも述べられている。人生は順調な時ばかりではない。また、そうであっては人間ができるはずがない。
 成功すれば妬まれるし、失敗すれば馬鹿にされ、叩かれる。これが人間の世界の実相である。これからの皆さんの前途にも、思いがけない悲しみや悩みがあるかもしれない。しかし、その時こそ、絶対に負けてはならない。あきらめてはならない。後退してはならない。このお母さんのように、「よし! 『新たな挑戦』の時がきた」と腹を決めていただきたい。
 「苦に徹すれば珠と成る」という言葉があるが、苦労につぐ苦労、波瀾万丈の人生を生きぬいてこそ、深みのある本物の人物ができるのである。その「揺るぎなき境涯」にこそ本当の幸福もある。
 このお母さんに健康法をたずねると、中国の古典(易経)の一節をあげられた。それは「天行は健なり。君子もって自強して息まず」(『易経』高田真治・後藤基巳訳、岩波文庫)と。
 すなわち「天体の運行は健やかで息むことがない。君子は、この健やかさにのっとって、みずから強めはげむ努力を怠ってはならぬ」(同前)という言葉である。
 方女史は、この言葉をとおして、「地球も毎日たゆみなく回っています。人間も、地球と同じように、たゆみなく仕事を続けていけば、健康になります。そして精神を高めることができます」と言われていた。まことに至言である。
 わが学園は、アメリカの有名なウイルソン山天文台と、コンピューター・オンラインで結ばれており、日本にいて天体を観測できる。
 たしかに、地球も、太陽も、宇宙の天体は、それぞれに、みずからの軌道を確実に進み続けている。
 皆さんも、自分らしい「学びの軌道」「努力の軌道」「挑戦の軌道」を着実に進んでいただきたい。
4  人生の勝負は「四十代から」
 一ぺんに偉くなろうとか、早く有名になろうとか、裕福になろうなどと、あせる必要はない。
 いってみれば、地球もあせらない。太陽もあせらない。それでいて着実に、たゆむことなく「わが軌道」を進んでいる。地球があせって、二十四時間のところを三時間で自転したらたいへんである。(笑い)
 人生もたしかな「軌道」に乗り、軌道の上を確実に進んでいるかどうか。それがいちばん大切なのである。見栄を張り、虚栄を追い求めるような人生は、結局、たしかな法則から外れてしまう。
 自分らしく、人知れず、地道に、こつこつと努力しぬいた人が、最後は勝つ。
 春、種をまく。三日で育てといっても無理である(笑い)。やはり「実り」は秋を待つしかない。これが道理である。人生の秋は四十代、五十代、六十代である。四十代以降に、花が咲けばよい。実がなればよい。それまでは全部、修行である。全部、忍耐である。今、お金がないことなど、少しも恥ではない。むしろ若いときこそ、苦労していく環境が必要なのである。
 さて今回、私は、香港在住の文豪・金庸先生とも二回目の対談をおこなった。
 金庸先生は、暗殺など、生命の危険に何度もさらされながら、断固として正義を主張してこられた言論の大英雄であられる。
 その金庸先生が、私との対談の中で、こう述べておられた。私自身のことになって恐縮だが信頼する学園生であるゆえに、ありのままに紹介させていただきたい。
 「私が、池田先生を尊敬してやまないのは、その著作の中で、すばらしい見解を発表され、世界平和のために絶え間ない努力を続けておられるということだけではありません。また、非常に価値ある精神の大団体の大指導者であるということだけでもありません。さらに大事ことは、池田先生が、真理のために勇気を堅持し、多くの悪意や偏見に満ちた世論の圧力にも、屈服しないということなのです。私が書いた小説では、主人公は、一人もしくは数人の英雄です。
 そして英雄のおもな資質は勇気です。それは肉体的な勇気だけではありません。さらに、重要なのは『道徳の勇気』です」(「聖教新聞」1996年3月20日付)――と。
 これは、決して私自身への称賛であるとは思っていない。
 創価教育の父であられる牧口先生、戸田先生の道に、厳然と続いている事実を語ってくださったと思っている。
 学園生の皆さんは、世界の良識が信頼し、見つめる、この「勇気の道」を、私とともに、「創価の英雄」として、誇りも高く進んでいただきたい。
 いまや世界中に学園生がいる。創大生がいる。香港にも、多くの皆さんの先輩が活躍しておられた。学園と創価大学出身の皆さんの活躍ほど、私にとって頼もしく、うれしいことはない。
 終わりに、「ご両親を大切に!」「自分自身を大切に!」そして「友情を大切に!」と申し上げ、祝福のスピーチとさせていただく。
 きょうは本当におめでとう!

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