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日蓮大聖人・池田大作

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関西創価中学・高等学校三年生、関西創価… 民衆に幸福をあたえる「英雄」に

1995.11.24 教育指針 創価学園(2)(池田大作全集第57巻)

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4  諸君は生涯「正義の人」たれ
 権力を求め、富を求め、地位を求めても、「何のため」に使うのか。その根本の目的を忘れた人生は、欲望に振りまわされる、はかなき人生である。経済の高度成長だけを追い求めた日本の社会も同じであろう。
 青年は、さらに言いきった。
 「これまで英雄と仰がれ、後世からも慕われるのは、すべて、民衆に幸福をもたらし、庶民を大事にした人です。多くの人を殺したからといって、英雄とはいえないと私は思います」
 青年の鋭い一言に、大王チンギス・ハンはこう言い返すのが精いっぱいだった。
 「私は一生、天下をほしいままにし無数の国を滅ぼしてきたが、おまえの話だと私は英雄に数えられないというのか? まったく子どもじみた話じゃないか―」
 その夜、チンギス・ハンは、わびしく息を引きとる。うわ言のように「英雄……英雄……」とつぶやきながら。
 ―― こう金庸氏は描いている。
 ”民衆を苦しめ、庶民をいじめる権力者など、「英雄」であるわけがない。民衆を幸福にし、庶民を大事にする人こそ、真の「英雄」である”。
 これが、小説の結論であった。そして、それが、金庸氏の信念なのである。
 金庸氏自身が、「国賊」呼ばわりされ、さんざんにいじめられながら、国家は核兵器の開発よりも人民の生活を第一に考えなくてはならない、との正義の主張を断固として貫いてきた言論人である。
 だからこそ、私どもの平和と文化と教育の民衆運動に、絶大な信頼を寄せてくださっている。
 この物語の青年の魂に、深く深くきざみこまれた、お母さんの遺言がある。
 「人生百年、一瞬で過ぎさつてしまう。大事なことは、生涯、心に恥じない行動を貫くことだよ。この母の言葉を忘れてはいけないよ」
 皆さん方のお母さんも、同じ思いではないかと私は思う。
 どうか、わが学園生は「正義の魂」を決して忘れず、誇り高く、「二十一世紀の大英雄」に育っていただきたい。
5  良書に挑戦、世界を広げよう
 「勉学第一」「健康第一」「友情第一」である。
 授業は真剣に、遊ぶ時は楽しく、クラブ活動・スポーツも有意義に、青春を歩んでいただきたい。そして、良書を、文学を、大いに読んでいただきたい。読書は人生を深め、世界を広げる。
 読書には、人生の花があり、水があり、星があり、光があり、楽しみがあり、怒りがあり、海があり、世界がある。私も青年時代、徹底して読書に励んだ。戸田先生も亡くなる直前まで、「きょうは何を読んだか」と厳しい薫陶であった。
 そのおかげで、今、東西のいかなる学者、文人とも、縦横無尽に語りあうことができる。
 栄養をあたえるほど、木は大きく育つ。同じように、魂にも「滋養」をあたえることである。そうした人が伸びていく。十代、二十代に読んだ本は一生の財産となる。どうか、自身を育てる「読書」に、大いに挑戦していただきたい。
 「お父さん、お母さんに、くれぐれもよろしく」と申し上げ、お祝いのスピーチとしたい。

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