Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

創価中学・高等学校第24回、関西創価中… 理想を燃やせ、太陽のごとく

1994.93.16 教育指針 創価学園(2)(池田大作全集第57巻)

前後
4  青春の日記を「勇気で」つづれ
 次に「勇気の道を朗らかに進め」と申し上げたい。
 『アンネの日記』で有名な少女、アンネ・フランク。彼女は、第二次大戦中、尊い命を奪われた六百万ともいわれるユダヤ人の一人である。わずか十五歳という若さであった。
 この五月には、アメリカの人権擁護団体であるサイモン・ウィーゼンタール・センターと、創価大学や、創価学会平和委員会などの後援で、ユダヤ人迫害の悲劇を告発する”ホロコースト(大虐殺)展”が東京で開催される(=1996年末までに国内19都市で巡回展示をおこない88万人が鑑賞)。彼女の生涯に光をあてた企画も、同時に予定されている。
 アンネの一家は、ナチスの魔の手をのがれるため、二年以上もの間、アムステルダム市内の小さな息苦しい隠れ家で生活した。いつ見つかるかわからない。見つかれば連行され、殺される――。
 たえずつきまとう恐怖。学校に行きたくても、行けない。自由に外も歩けない。そのなかで、彼女は勉強を続けた。皆さん方は、自由に外も歩ける。学校にも行ける。両親に勉強しなさいと言われることはあっても、勉強を邪魔されることは、ほとんどないと思う。本当に幸せである。幸福すぎて、自分がどんなに幸福であるかわからなくなっている人もいるかもしれない。
 アンネは向学心が人一倍、旺盛であった。また行動的であった。そんな彼女にとって、どんなに、つらい日々であったことか。しかし、彼女は、日記につづっている。ちょうど五十年前のきょう、二月十六日の日付けである。
 「わたしは、身の不幸を嘆こうとは思いません。それどころか、雄々しく生きたいのです」(『アンネの日記』深町眞理子訳、文春文庫)
 一方、避難生活が長くなるにつれて、大人たちは、しだいに不満をつのらせ、口から出るのはため息ばかりになってしまう。しかし、アンネは、いつでも明るい笑顔を失わない。「決して愚痴は言わない」と、固く心に決めていた。彼女は、こう書いている。
 「悪くなるのも良くなるのも、人の『心』の持ちようしだい」「みんな、自分の気分を克服することを学ぶべきです」「わたしには、勉強があります。希望があります。愛が、そして勇気があります」(同前)
5  前向きに「知恵」を使って
 大切なのは「心」である。悪口を恐れるような「臆病な心」であっては、何も人生の歴史は残せない。また、どんな境遇にあっても、前向きに、「知恵」を自在に発揮していく人は幸福である。
 「知恵の人」には、自分も行き詰まりがない。人をも喜ばせ、良い方向へと導いていける。
 アンネが誇り高く生きた一日一日は、今なお、「人間の尊厳」を高らかに示しながら、世界の人々の心に生き続けている。
 創価学園の卒業生となる皆さんは、彼女に負けない勇気をもって、偉大なる青春の日記を、立派につづり残していただきたい。(拍手)
 私はきょう、これから、南米エクアドル共和国のドゥラン・バジェン大統領と会見する。あとを託す皆さんのために、私は世界中に、いちだんと大きく確実な「友情の道」を開いていく決心である。
 エクアドルの有名な解放詩人(ホセ・ホアキン・オルメド)は歌った。
 「諸君には勇気がある/栄光は諸君のものだろう」「勝利は大胆な者に訪れる/勝利を望まぬ者は、すでに敗北しているのだ」
 人生は勝負である。どうか皆さんは、お父さん、お母さんや、恩師である先生方に”本当によくがんばったな””立派に勝ったな”と喜んでもらえる「人生の勝利者」になっていただきたい。
 敗北者はみじめである。両親も嘆く。先生方も悲しむ。私は、諸君が幸福になり、成長していく姿を見るのが最高の喜びである。(拍手)
 大切なのは「勇気」である。「努力」である。それこそが「栄光」を生み、「勝利」を生む。
 人生はマラソンである。途上で、皆に少しくらい後れをとったとしても、あせる必要はない。最後に勝てばよいのである。ゴールで勝利のテープを切る人が、本当の勝利者である。そのために、明日からふたたび、着実に努力し、自分らしく、堂々と、希望にむかって歩んでいただきたいと申し上げ、お祝いのスピーチとしたい。
 くれぐれも身体を大切に、きょうは本当におめでとう!

1
4