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日蓮大聖人・池田大作

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創価学園1 中学校・高等学校[昭和48年度]

教育指針 創価学園(1)(池田大作全集第56巻)

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12  青春の活力を確信して
 第五には、皆さんが当面している「青春」ということであります。だれでも、青春時代というものは、長い人生のなかでもっとも華やかで、楽しい時代だと思いがちでありますが、実際はそれほど楽天的になれるものでもなければ、無条件に楽しいというものでもないことを、私はよく知っております。
 むしろ、無限の可能性を前にして、非常に不安定で落ち着きがなく、鋭敏な神経がつねに働いているといったほうが、実情に近いかもしれない、否、実情であろうと思います。未来にかけた夢が大きければ大きいほど、心労も大きいのが青春であるといってよいと思います。そして、この青春時代をいかに送るかによって、後の人生が決定されるという重要さを秘めています。
 ここで、私の申し上げたいことは、若い皆さんは傷つきやすく、弱いように見えますが、決してそんなものではないということであります。だれでも、どんな困難をも乗り越えていける活力、生命力が身にそなわっているということに、自信をもっていただきたいのであります。
 感情の振幅の激しさから、ときには絶望に陥ることもあるかもしれない。しかし、皆さんの生命の底には、それをはねとばして克服するだけの力がちゃんとそなわっているということを知っていただきたい。負けてはいけない。これが青春というものの本体である、と私は叫びたい。それは壮年・老年時代にはないところのもので、青春の特権というものが、そこにあるということを忘れないでいただきたい。人が老いていくと青春時代を懐かしむというのは、まさにこの青春の活力というものを懐古しているということを知っていただきたい。決して苦悩や困難を避けるようなことをしてはなりません。堂々とそれに挑戦して、立派に克服する皆さんであることを、私は心から期待してやみません。
 ともかく、青春は無限の歓喜とともに、またかならず心労がある、悩みがある。これは表裏一体であることを忘れてはならない。それを知って戦っていくところに、輝かしい青春時代がある。また、青春時代を送っていくことができる。さっそうたる創価女子中学・高等学校の第一期生の皆さん、どうか本日を「健康」と「良識」と「希望」という、生涯にわたり輝ける生命の財宝を築く第一歩の門出としていってください。心から皆さんの栄光をお祈り申し上げます。
13  創価女子中学・高等学校 第一回希望祭〈昭和48年9月14日〉
 先駆きる誇りと使命を胸に
 第一回希望祭に真心こもるご招待をいただき、心から御礼申し上げます。最初にご繁多のところわざわざご来校くださり、希望祭をご覧いただきました来賓の方々に、一同に代わりまして心から御礼申し上げます。ありがとうございました。
 創立以来、まだ間もない創価女子中学・高等学校でありますが、見事な第一回の希望祭を拝見し、創立者としまして、これ以上の喜びはありません。大変疲れただろうと、非常に心配していましたけれども、このように元気はつらつと演技を見せてくださって、頼もしいかぎりであります。この希望祭は大変な伝統をつくったと確信したい。というのは、将来、何千、何万と、良識と健康と希望に満ちた、平和と英知の女性が陸続と続くであろう。その第一歩として、道なきところに立派な道をつくってくださった。それは、三百数十名の皆さん方にとっても、十年さき、二十年さきに偉大な人間教育として残る意義ある思い出と変わるであろう、このように私は賛嘆したい。
 どうか、後輩のために先駆をきって道を拓いているという、その誇りと使命と喜びを胸に秘めて、日本一、否、世界一の学園に、そしてまた学園生となり、平和の女性として巣立っていただきたいことを心からお願い申し上げ、私のあいさつとし、またお礼とさせていただきます。
14  創価高等学校 第四回卒業式(メッセージ)〈昭和49年3月16日〉
 心の財産豊かな人に
 開校記念日でもある本日、この学園を巣立ちゆく二百八十七人の皆さん、三年あるいは六年間の研鑽が立派に実って晴れのご卒業、本当におめでとう。人格涵養、勉学、体育、その他、多彩な努力が見事に成果を上げたことに対し、諸君にも、ご両親にも、心からお祝い申し上げるしだいであります。
 さらに諸君の卒業につきましては、先生方はもちろんのこと、本校の先輩や、後輩である全学園生もまた、同じ心をもって祝福してくれていることを、決して忘れないでください。
 また入学からこの卒業までのあいだ、大勢の生徒さん方を精魂こめて慈しみ、教え、責任感にあふれて導いてこられた先生方に対しましては、ご父母の皆さまとともに、心からありがとうございましたと深く感謝申し上げるものであります。どうかこの斬新なる教育がますます発展し、本校がその限りない未来性を輝かしてまいりますよう、心からお祈り申し上げるしだいであります。
 諸君は創価中学の第一期生でありましたから、とくに私としても、一人一人よく知っておりますし、いろいろな行事を通じてさまざまな思い出をもっております。これは諸君と同じ思い出を共有しているわけでありまして、お互いに人間としての貴重な財産ではなかろうかと思うしだいであります。願わくは、諸君は本校を巣立ってからもますます人間として建設に励み、心の財産豊かな人に育ってください。
 進学するにせよ、就職するにせよ、諸君はきょうから新しい人生を踏み出していくわけであります。どうあろうと、過去は過去、未来は未来、このけじめはハッキリつけなければなりません。むしろ諸君の生涯は、これから始まるのだといってよい。人間としての真価が問われるのは、これから二十年がかりの長いあいだだと思う。一人残らず革命児の面目がそこにあることを自覚していこうではありませんか。
 進学希望といっても、今年できる人も来年になる人もいるでしょう。そこで私は申し上げておきたい。進学がかなっても、喜びにおばれたり慢心を起こしたりはすべきでない、と。そして、来年になる人は、一度ぐらいの苦難でみずから立てた志をぐらつかせるな、と。大人の事業にも受験にも通ずることでありますが、人というものは勝ったときに負ける原因をつくる例もあるし、負けたときに勝つ原因をつくる例もある。しっかり者であるかないかは、そうしてふるいにかけられていくのであります。いずれにせよ、堂々とたくましくまいりましょう。
 以上の心得を申し上げたうえで、遥かアメリカの天地から全員の成功をお祈りいたします。
 大学へ入ったならば、人文科学であれ、自然科学であれ、どうか、それらの諸学の基礎をしっかり会得してください。彼の哲人デカルトは常識とボン・サンス(良識)とを厳格に立て分けて、ボン・サンスをこのうえなく大切にいたしました。なぜならば、ボン・サンスのほうこそ一切の常識の母体だからであります。同様に諸学の成果は、その基礎より生まれいずるものであるがゆえに、基礎を会得せよと、申し上げるのであります。英知の原点と文明の基礎を悟った人は、賢者に育つでありましょう。
 卒業生諸君、どうか健やかに、そして心たくましく、仲良く存分に各自の運命を切り拓いていってください。人間として光り輝いていってください。諸君が光れば母校も光り、それにつれて諸君もまた、この母校の思い出を、ますますよきものとしていだくでありましょう。
 諸君の福運をシンポライズ(象徴)するかのように、そこ武蔵野の木々もまた新芽をふくらませておりましょう。それを心に描きつつ、諸君の幸多かれと祈りまして、お祝いといたします。(アメリカ・ニューオーリンズより)

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