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日蓮大聖人・池田大作

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創価学園1 中学校・高等学校[昭和47年度]

教育指針 創価学園(1)(池田大作全集第56巻)

前後
7  忍耐という勇気をもとう
 第四には「思いまかせぬ境遇に陥ったとき、忍耐という勇気を決して忘れてはならない」ということであります。天候に晴雨があるように、人生にもまた、かならず波があります。ときに災難にあうこともありましょう。苦境に沈むときも、前途暗漕と思われるときもあるにちがいない。人は苦しいとき、それが永遠に続くように思われるものであります。
 しかし、雨の日が一年続いたことは、かつてなかったように、かならず晴天がそのさきに待っているのであります。苦しい境遇に陥ったとき、若年であればあるほど、いたずらに焦慮を感じてあがきますが、これは、ますます深みにはまる拙劣な徒労であります。これほど、諸君の心身をいためつけるものはない。努力しても、その苦しさから脱出することができないときは、それを堂々と耐え忍ぶことを忘れてはなりません。焦慮にかられて短気を起こし、みずからを破滅に導いては決してなりません。時の過ぎるのを悠然と待つことであります。
 まことの忍耐は、勇気を必要とするのであって、古今の勇者は、この人生の知恵の体得者でありました。諸君は、忍耐すべきときには、立派に耐え忍ぶことのできる勇者であっていただきたい。どうしようもなく苦しいとき、それが永遠に続くように思われるのは、恐るべき錯覚であります。それは後から考えれば、ほんのひとときのことにすぎません。私は、将来、大事をなさんとする諸君に、焦ってはならない、忍耐する勇気を忘れるな、と申し上げておきたいのであります。
8  頑健な体をつくろう
 最後に、第五は「人の一生において、もっとも優先すべきものは健康である」ということであります。平常、健康であるときには、体の健康のことなどさっぱり念頭にありません。それが、ひとたび病人となると、自分を取り巻く世界ががらっと灰色に変わって、うつうつとして楽しむことができないのは、だれしも経験するところであります。どのような優れた才能と力をもっていたとしても、また、どのような立派な識見の所有者であったにしても、それでは人生は無に帰してしまうのであります。一個の人間にとって、これほど悲惨なことはない。
 幼少のころから病弱と闘いながら、今日まできた私には、諸君の輝かしい前途を考えるとき、いつもこの健康の問題を恐れるのであります。おまけに、現代ほどわれわれの健康を蝕む要因が数多くそろった時代は、かつてありませんでした。呼吸する空気に毒がある。飲む水に毒がある。肉にも魚にも野菜にも、みんな毒がある。しかし、これらの毒は近ごろ、人間みずからせっせとつくったところのものであります。まことにやりきれない悲しい話でありますが、現代は健康の維持という面において、戦前の昔よりはるかに困難になってきたことを、知らなければならない。
 それだけに、私は諸君の健康について、さらにいっそうの注意を喚起したいのであります。過去のいかなる時代よりも、現代ほど頑健な肉体を必要とする時代はないといってよい。諸君の両親よりも頑健な身体をもたなければ、大事をなすことはできない時代であります。諸君の年齢は今、一生の勤労に十分耐えうるだけの頑健な体をつくる時期にあたっているということを、決して忘れないでいただきたい。遠い将来をつねに頭におき、スポーツによる鍛錬はもちろんのこと、つね日ごろの節制にも十分な注意をはらうことを、どうか、心がけていただきたいと思います。
 現代において健康ということは、ますます社会的問題となるでありましょうが、まず自分みずから、頑健な体をつくるべきであります。この目標は、諸君の生活のなかで、もっとも優先すべきことである、と私は申し上げたいのであります。
 以上、諸君の可能性、友情、求道精神、忍耐、健康の五つの点について、率直な提言をいたしました。現代というやっかいな時代に対処していくにあたって、何らかの参考となり、栄光の人生を迎えるにいたることを信じ、諸君の卒業にさいしての、私の祝辞とさせていただきます。おめでとうございました。

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