Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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講義にあたって  

講義「方便品・寿量品」(池田大作全集第35巻)

前後
13  仏・菩薩に届く勤行・唱題の声
 なかには「意味が分からず経文を読誦して、功徳はあるのだろうか」という疑問を抱く人もいるかもしれない。大丈夫です。厳然と功徳はあります。
 大聖人は次のように仰せです。「赤ん坊は水と火を区別できず、毒と薬の違いを知らないが、乳を口に含めば命を延ばすことができる。それと同じく、経典に通じていなくとも、一字一句でも法華経を聞いた人は仏にならないわけがない」(「法蓮抄」御書一〇四六ページ、趣意)と。
 赤ん坊が、お乳を飲めば知らずしらず大きく育っていくのと同じように、御本尊を信じて妙法を唱えきっていくならば、必ず無量の福徳が輝いていくのです。
 またたとえば、犬には犬の、鳥には鳥の世界の言葉があります。人間には分からないが、犬同士、鳥同士には確かに通じ合っているにちがいない。また、学術用語、外国語なども、他の人には分からなくても、これもまた立派に通じます。
 同じように、勤行・唱題の声は、仏・菩薩の世界の言葉であると言えます。たとえ意味は分からなくても、きちんと御本尊に通じ、諸天善神、三世十方の仏・菩薩の世界に通じていく。そして、全宇宙が私たちを福光で包んでいくのです。
 もちろん、その実践を根本として、さらに求道心を持って経文の意味を学んでいけば、いちだんと確信が強まり、信心の勢いを増していけることは当然です。
 勤行・唱題は、御本仏と南無妙法蓮華経の大法を讃嘆申し上げる儀式です。別の言い方をすれば、宇宙の根本の妙法を、そしてまた仏様を、最高最善に讃嘆する詩であり、歌であると言ってもよいでしょう。
 それは同時に、永遠なる宇宙生命の讃歌であり、自分自身の仏界を讃嘆していることでもある。
14  小宇宙の自身が大宇宙と交流
 戸田先生は、こうも述べられている。
 ──諸天善神にたいして、あいさつするときに、それは、わが心の中にある諸天善神が、そのまま大宇宙にうかぶのです。
 そうして、‥‥御本尊に向かうときには諸天善神が、ぜんぶうしろにすわるのです。
 かりに私が、いま諸天善神にあいさつすれば、夜であろうと昼であろうと、その諸天善神がことごとく、私のうしろにぜんぶすわって、御本尊様にあいさつするのです。
 そうして、私の心の願いをかなえるために、その諸天善神がみんな、働きにいくのです。そういうふうになっているのです──と。
 御本尊を拝するならば、わが小宇宙の扉は、その場、その時に、大宇宙へと全開し、全宇宙を広々と見るような悠々たる大幸福感を味わうことができる。大充実感と、大歓喜、一切を掌に収めたような大智慧を実感することができる。宇宙に包まれていた小宇宙が、宇宙を包みかえしていく。
 生命を根底から蘇生させる、すがすがしい「元初の儀式」──それが勤行です。
 ゆえに大切なことは、日々、白馬が天空を駆けゆくようなリズム感あふれる勤行をしていくことです。身も心も軽やかに、さわやかになったと、自分自身が満足できる勤行であっていただきたい。
15  聖職者の独占を破り民衆自らが読誦、行動
 法華経は「諸経の王」であり、「民衆に呼びかける経典」です。「今に生きる経典」であり、仏の慈愛と平等観が込められた経典です。人間を強く、賢くする、蘇生の息吹あふれる「ルネサンスの経典」です。その眼目が、方便品と寿量品です。大聖人が示された読経・唱題ほど、万人が参加できる修行はありません。民衆に最大に開かれた仏道修行なのです。
 大聖人の御在世当時は、出家も在家も読経・唱題に励んでいた。ところが、現代社会では、いつしか経文といえば、民衆に疎遠なものになってしまった。葬式の時、などに僧侶に読んでもらうだけ、というのが当たり前になり、だれもが疑わなくなった。それが、宗教的な権威に隷従する精神的土壌をつくり、聖職者を傲慢にし堕落させる元凶にもなってきた。
 しかし「今日では、SGI(創価学会インタナショナル)の発展によって、日本だけではなく世界各国の民衆が喜々として妙法を唱え、方便品・寿量品を読誦するようになった。
 これは仏教史上、かつてない壮挙です。二十世紀の偉大なる宗教革命です。
 大聖人の民衆仏法が、「平和」と「幸福」の対加を全世界に広げている。幾百万の人々が、妙法の功力を実感し、すばらしい人間革命のドラマを演じている。何よりそのが″事実″が、法華経の精神を現代に受け継ぐ創価学会の正しさを、雄弁に証明しているのです。
 私は、そうした同志の姿を思い描きながら、この講義を進めていくつもりです。晴れわたる大空を広々と仰ぎ見ながら、また、花々の咲き香る野辺の小道をゆったりと散策しながら、皆さんと語り合うような気持ちで行ってまいりたい。

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