Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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未来を託す子どもたち  

1972.12.12 「随筆 人間革命」「私の履歴書」「つれずれ随想」(池田大作全…

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3  そのころ、近所の子どもたちが──「センシェイ」とはしゃぎながら、幾人か入ってきた。無垢というのであろう、どの瞳も天使のように見える。新雪のような白さ、どのような色にも染まっていくであろう、この生命。抱っこしたり、頬ずりしたりしてあげる。早いもので、法戦の指導、指導、旅行、旅行の連続のなかで、わが家では、しぜんに子どもたちが成長してしまった。ゆえに、近所の子どもたちの到来は、なによりも大歓迎。
 庶務より、J記者から今日中に“明暗”第八回分の原稿を願いたし……との連絡があった。挿絵が間に合わなくなるとのこと。
 勤行を終わらせ、急いで車に乗る。子どもの一人が、どうしても一緒にというので、乗せてあげる。
 車中、伸一は思い返した。幾十年、幾百年にわたる広布の転戦にあって、この子らを護り育てる以外に、真の勝利の戦線の拡大はない。
4  戸田先生は、つねに伸一たちに言われた。
 「いま、私が矢面に立っている。君たちには傷をつけさせたくないのだ。烈しい疲労の連続であるが、私は毅然として時を稼ぐ。君たちは、いまのうちに勉強をし、力を養い、次の時代に敢然と躍り出て広布の実現をはかることだ。戦いは長い。すべて君たちに託す以外になにものもないのだ。それまで、いかなる中傷、非難にも耐え、防ぎに防いでおくよ」と。
 車を降りると、子どもの顔に、朝風が清々しく吹き込んでいるようだった。

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