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日蓮大聖人・池田大作

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小学校の担任 檜山先生  

「私の人物観」(池田大作全集第21巻)

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6  五年前の晩秋、それは木枯らしが吹く、寒い、寒い日であった。私は、上野駅から列車に乗って、栃木県の宇都宮に向かった。県の体育館で催される会合に出席するためである。日はもう暮れていた。会場に着いて驚いた。檜山先生ご夫妻が待っていてくださったのである。
 栃木県の校長を定年退職され、悠々自適の人生を送っておられた。私は、真実の教育者のたどりつく風貌と、坂を上りきった一人の教育者の姿を見る思いがした。淡々とした口調からは、幻の有名道を拒絶し、栄誉栄達をはるかに見下して、ひたすら教え子たちの姿を見守っている広くも深き、師の心が感じられた。ご自宅へおじやましたい思いであったが、その日はとんぼ返りで、夜遅く上野へ向かわざるをえず残念であった。必ず来年はお伺いしますと、固いお約束をしながら、いまだ、それも果たせず心を痛めている私である。
7  たまに、盆暮れに粗品を贈らせていただくことがあるが、先生は、必ず丁重など返事をくださる。また、ときには励ましのお手紙もくださる。先生にとっては、いつになっても教え子は「あの子」であり「この子」である。有り難いものである。最近のお手紙には「高木は風に妬まれる」という諺が引用されていた。お手紙はすべて、妻が、大切にとってくれている。

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