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日蓮大聖人・池田大作

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5 生命工学の課題  

「21世紀への人間と哲学」デルボラフ(池田大作全集第13巻)

前後
43  ここで私は、先に示唆したことをくりかえしたいのですが、それは、人間がもし自分自身を信じられず、先にあげたカ-ル・ラーナーの言うように、人間の「道徳的信仰本能」を信頼できず、自己の胸中のかすかな希望の花をなえさせ、枯死させてしまうのであれば、事実上、自己を放棄することになるということです。
 人類の未来に、希望の根拠がないわけではありません。その希望の源泉は、形態や内容を問わず、宗教にあります。ここでは、私の考えでは、仏教と同様、キリスト教も助けになりえます。
 ご理解いただけると思いますが、私は破綻した人間悟性から宗教的信仰という恩恵の領域への跳躍を、弁明しているのではありません。ただ、私たち二人が、この対談で当初からふみだしている道を、すすめているだけなのです。
 つまり、われわれの現代的生活および信仰状況の仮借なき分析と、われわれ人類に提起されているあらゆる問題を検討し、評価するという道です。そのさい、人類が放縦にあつかってきた技術の是非を反省し、人類の文化創造と精神的業績を正当に評価するとともに、宗教の教えと救済体験にも心を開いていく必要がある、ということなのです。
44  ヘルマン・マラー
 (一八九〇年―一九六七年)アメリカの生物学者、遺伝学者。一九二七年、ショウジョウバエにX線を照射し、人為的に遺伝子に突然変異をひきおこすことに成功。四六年のノーベル生理・医学賞受賞。
 レトルト
 ガラス製の蒸留器具の一つ。フラスコの首の部分が曲がったかたちをしている。
 ウィラード・ゲイリン
 (一九二九年―)アメリカの医師。教育家。
 オルダス・ハクスリー
 (一八九四年―一九六三年)イギリスの小説家、評論家。現代文明の不安と知識人の不安定な生活、未来の科学の発展を、社会風刺的に前衛的方法でえがいた。作品『恋愛対位法』、評論『目的と手段』など。

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