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日蓮大聖人・池田大作

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5 生命世界の調和  

「21世紀への人間と哲学」デルボラフ(池田大作全集第13巻)

前後
12  東洋の国々の子どもたちは、事実、たいへん早い時期に自然や宇宙への大いなる開放性と献身を教えられます。これに対し、キリスト教は、またヒューマニズムも同様ですが、人間への正当な配慮をめざすあまり、人間の自然的基盤への配慮をおこたり、一種の「忙しさによる盲目的な状態」を呈しています。
 しかし今日では、この怠慢への反省、批判が出はじめており、エコロジー運動の高まりが見られます。これはドイツでは、とくに若者に、新しい種類の自然保護と自然に対する責任についての関心をおこさせました。
 ですから、私としては、こうした自然に対する責任感、つまり、動植物の生命を傷つけずに尊重していくという考え方が、二十世紀後半の倫理上の重要な主題となることは、けっして不可能ではないと思っています。この問題は、十八世紀には奴隷制に対し、十九世紀には拷問や死刑といった処罰に対して、その非人間性が問題にされたのと同様、ある種の「罪悪感」を一般社会に広く呼びおこすのではないかと思います。
13  池田 それは、可能性としては大いにありうると思います。
 東洋の伝統では、動物を家族の一員として一緒に生活することが、動物愛護などという特別な意識なしに、きわめて自然なこととしておこなわれてきたと思います。それに対し、ヨーロッパの人々の場合は、かなりはっきりした意識をもっておこなわれているように思われます。ヨーロッパの人々にとっても動物との共存は、さらに多くの人々のとる一般的な考え方になっていくでしょう。
 しかし、人間自身に関するとらえ方が他の動物とのちがいに根本をおいていくかぎり、あくまで強者としての人間が弱者としての動物を保護し、愛護するという考え方の枠から出ることはないと思われます。
14  聖フランチェスコ
 (一一八一年ころ―一二二六年)イタリアの聖人。フランチェスコ教団の創立者。

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