Nichiren・Ikeda
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日蓮大聖人・池田大作
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1 近代化への反動
「21世紀への人間と哲学」デルボラフ(池田大作全集第13巻)
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池田
そこで、近代化を生みだしたヨーロッパ人が非ヨーロッパ、とくに東洋の伝統文化と出あったときの態度に関して見ておきたいと思います。
これについて、C・G・ユングは、ヨーロッパの知識人が東洋の伝統文化と接触するときの態度として、ヨーロッパ的伝統をいっさい捨てさって東洋(あるいは非ヨーロッパ)的伝統文化に同化してしまうか、逆に、東洋(非ヨーロッパ)的な伝統文化にまったく拒否反応を示して、みずからのヨーロッパの伝統の内に閉じこもってしまうかの、どちらかであるといっています。
その理由として、ユングは、ヨーロッパの知識人自体が、こうした異なる文化間の葛藤に耐えきれないために、その葛藤のまっただなかにふみとどまるという態度を持続しえないからである、と述べています。しかしながら、この複雑な葛藤のなかにふみとどまって、その葛藤を止揚する道を模索していく第三の立場をとることこそが、現代ヨーロッパの知識人の課題である、と主張しています。
とくに、近代化が世界的な規模におよんでいる現代にあっては、ヨーロッパと非ヨーロッパ(とくに東洋)のそれぞれの伝統文化が対決し、相互に継承すべき良き点を発見し、相互に否定すべきものは捨てさって、両者を止揚するところの、いわば“人類の普遍的な思想”を生みだしていくことも可能であると思いますし、また、そうしなければならない、と私は考えるのです。
ユング(一八七五年―一九六一年) スイスの精神医学者。心理学者。フロイトを批判、独自の深層心理学をつくる。
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デルボラフ
おっしゃるとおりだと思います。つまり、おのおのの国民が自分にとって不可欠だと思われるものを他の国民から受けいれ、逆に他国民を助け、振興させ、そして余分なものを無視する、ということです。
これまでも、あらゆる歴史的・文化的出あいというものはそのようになされてきたわけですが、意思の疎通という点では、しばしばあまりに長い時間がかかりすぎたきらいがあります。計画性と分別をもってすれば、意思の疎通はより加速度を増すことができるはずです。
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フリードリヒ・ニーチェ
(一八四四年―一九〇〇年)ドイツの哲学者、詩人。キリスト教、ヨーロッパ文明への根源的な批判を展開し、現代思想に大きな影響をあたえた。主著『悲劇の誕生』『ツァラトゥストラ』他。
シュペングラー
(一八八〇年―一九三六年)ドイツの哲学者。主著『西洋の没落』でヨーロッパのキリスト教文明の終末を予言。
トインビー
(一八八九年―一九七五年)イギリスの歴史家、文明批評家。主著『歴史の研究』。池田SGI会長との対談『二十一世紀への対話』(本全集第3巻に収録)は、日本語版もふくめ二十一言語に翻訳、出版されている。
織田信長
(一五三四年―八二年)戦国時代の武将。安土城を築いて全国統一をめざしたが、明智光秀の謀反にあい自刃した。
パーキンソン
(一九〇九年―九三年)イギリスの歴史学者、評論家。主著に『パーキンソンの法則』。
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