Nichiren・Ikeda
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日蓮大聖人・池田大作
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5 ワイマール体制の崩壊
「21世紀への人間と哲学」デルボラフ(池田大作全集第13巻)
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池田
自由は、人間が追求すべき大切な価値ですが、それとともに、自由を使いこなせるには、自律心、内面的充実、そして、相互尊重の精神が確立されなければなりません。自己の衝動や感情を律しえなければ“自由”の名のもとにたがいに傷つけあい、かえって多くの人々を不幸におとしいれることとなり、その結果“自由”そのものが見捨てられることになります。
また、個々の人間の精神的充実がなければ“自由”はかえって孤独感をまねきます。たとえば、自分は人生において何をなしたいのかという目的観がなければ“自由”は、その人にとって無意味であり、かえって重荷にさえなってしまいます。そのため、自由を放棄して、何をなすべきかを命令してもらって、そのとおりに動いていればよいという奴隷の気楽さを求めるようになるものです。
こうした個人の内面的充実や自律の習慣は、長い文化的伝統と教育的伝統によってつちかわれるもので、しかも、外からあたえられて得られるのではなく、一人一人の自覚ある努力によってはじめて得られるのです。もちろん、ドイツのワイマール体制からナチス体制への移行の要因は、自由の放棄という心理的要因だけでなく、それに社会・経済的要因が複雑にからんでいたわけです。
日本における大正デモクラシーから昭和初期の軍国主義への移行も、さまざまな要素がからんでいました。日本の場合は、自由の放棄という心理的要素はさほど大きくなく(というのは、それほど“自由”は許されていませんでしたから)、むしろ経済的要素が大きかったといえます。つまり、世界的不況が、当時成長しはじめたばかりの日本の資本主義経済を痛撃し、これを乗り越える道を軍事産業と海外領土拡大に求めたのです。
こうした経験からも、平和世界の実現のためには、一人一人の内面的充実とともに、安定した経済的繁栄をグローバルな視点で考えていくことが必要であると痛感せざるをえません。
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ムッソリーニ
(一八八三年―一九四五年)イタリアの政治家。ファシスト独裁体制をしき、ヒトラーと組んで連合国に宣戦。イタリア降伏後に捕えられ銃殺された。
シューシュニック
(一八九七年―一九七七年)オーストリアの政治家、首相〈在任三四年―三八年〉。親伊政策を実行したが、ナチス軍がオーストリアに侵入したさい逮捕された。
ソ連 本文中では、一九九一年に歴史的に消滅する以前の社会主義国家の旧ソ連を指している。
エーリッヒ・フロム
(一九〇〇年―八〇年)ドイツ生まれの社会心理学者。アメリカに亡命後、新フロイト主義のリーダーとして活躍。
フロイト
(一八五六年―一九三九年)オーストリアの精神病学者。人間の深層心理の解明のために精神分析の立場をはじめてつくった。著書『夢判断』『精神分析入門』など。
アドラー
(一八七〇年―一九三七年)オーストリアの心理学者。フロイトの門下。個人心理学を提唱した。
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