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日蓮大聖人・池田大作

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後記 「池田大作全集」刊行委員会

「私の釈尊観」「私の仏教観」「続・私の仏教観」(池田大作全集第12巻)

前後
4  『続私の仏教観』は、タイトルが示すように前作の続編である。昭和四十九年(一九七四年)五月から五十一年(一九七六年)三月までのほぼ二年間、十二回にわたって月刊誌「第三文明」に掲載され、それが同年(一九七六年)十一月に第三文明社から上梓されたものである。主として中国における仏教受容の歴史と、それが本格的に根づくようになるまでの動向、それに法華経流布の経緯等が語られている。いわば、「仏教史・中国編」と呼ばれるべきものである。
 これには、南岳大師、天台大師、章安大師、妙楽大師等の『法華経』有縁の諸師をはじめ、幾多の法難や法顕・玄奘等の入竺求法記、それに日本に伝えられるまでの仏教各派の消長等、御書にもしばしば登場し、私たちにも馴染みの深い事柄について、詳しく語られており興味深い。
 とくに、鳩摩羅什については、漢訳『妙法蓮華経』の訳者として著名である。西域伝来の原典(梵語)から漢訳したわけであるが、長安入りしてから翻訳作業を始めて、卒年までの八年間または十二年間という短期間に、三十五部二百九十四巻とも、五十余部三百数十巻ともいわれる膨大な量の仏典を翻訳している。その訳によって、中国でも、日本でも『法華経』に親しむことができるようになった。因みに近年、その漢訳から英語への翻訳が、アメリカ・コロンビア大学のバートン・ワトソン博士の手によって完成しており、その業績も後世に残されていくことだろう。
 ここで、本書に関連して、このワトソン博士が『私の釈尊観』『私の仏教観』『続私の仏教観』の三部作を、いずれも英訳していることを付記しておきたいと思う。それによって、それぞれの広がりには違いがあるとはいえ、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語、デンマーク語等のヨーロッパ世界にとどまらず、インドネシア語、さらにはタイ語、中国語等の版の刊行が続いており、世界の人々が仏教を理解する一助となっていることは間違いない。
 なお、巻末に語句の「注解」を設けた。従来は『続私の仏教観』にのみ語注が付されていたが、今回新たに『私の釈尊観』と『私の仏教観』についても刊行委員会で注解を作成し、三部通して五十音順に配列して統一的な「語注」としたものである。これにより、インドから西域諸国を通じて中園、日本へと伝えられた仏教史上の地名・人名、及び仏法用語の関連項目を読者が参照できるよう心がけた。その際、インドの地名・人名等については、原則としてサンスクリット音読みに統一したことを、ご了解いただきたい。
5  戸田城聖第二代会長は詠んでいる。
 「いざ往かん月氏の果まで妙法を拡むる旅に心勇みて」
 この広布への熱き思いを現実のものとしてきたのが、池田名誉会長の不惜身命の激闘である。われらもまた、わが内なる「生命の法」を聞き顕しつつ、歴代会長が確たるものとしてきた人類の幸福と世界平和への道を勇んで邁進していきたいと願うものである。
   平成六年二月十一日

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