Nichiren・Ikeda
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日蓮大聖人・池田大作
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人間における教育の意味
「第三の虹の橋」アナトーリ・A・ログノフ(池田大作全集第7巻)
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ログノフ
人が営む生活の諸条件によってその人の行為におけるいくつかの可能性が決まります。もちろん、ある極端な事例では人間が選択の自由を制約される場合がありますが、それは例外的な現象であって、一般的、典型的なものとはいえないでしょう。
多くの場合、人間、階級、国家は二者択一的な選択権をもっています。そして、いずれの道を選ぶかという選択は、まさにそれぞれの意識とか意思、さらには理想といったものと直接結びついています。
人間を取り巻く環境条件はその人間と無関係のものではなく、絶対不変なものでもありません。
池田
仏法では、環境条件を依報といい、人間主体を正報といって、その両者の関係を“依正不二”と説いています。ごく簡単にいえば、「正報たる人間は環境によってつくられ規定される面もあるが、強い生命力と知恵によって逆に環境をつくりかえていける」ということです。
ログノフ
先輩世代の営為の客観的諸条件が、一国に住む人々の生活だけでなく、人類全体の生活にかかわる情報伝達手段の急激な発達の時代には、そうした先輩世代の遺産がとりわけ顕著に現れます。
戦争と平和、飢餓と貧困、環境汚染と天然資源やエネルギー資源の枯渇といった問題は、個々の国だけでなく、世界全体、さらには個々の人間にとってきわめて重要な問題になっています。
ここでは、次の事柄を指摘するのが適切と思います。すなわち、社会はどの程度、人間に内在する可能性を引き出しうるか、また、人はおのれに課せられた課題を解決するさい、どの程度、自由が与えられるかによって社会の物質的および精神的な進歩発展が最終的に決まるということです。
私たちは現在、二つの違った社会経済体制間の歴史的な競争の時代に生き、その競争に参加しています。私が確信するところでは、未来はすべての人間、そして個々の人間に対して、最適な生活条件、才能発揮のための好適な条件を最大限与えてくれる体制の側にあると思います。
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池田
まさしくおっしゃるとおりであると私も思います。社会のために人間があるのではなく、人間のために社会があるのだという視点が見失われてはなりません。
人間の幸福、すなわち最適の生活条件をととのえ、また個々人のもっている才能、力が存分に発揮できることに奉仕する社会であってこそ、その社会は人々の献身的寄与をかち得るでしょうし、各個人の力が社会の繁栄のために活かされていくことによって、ますます栄えるでしょう。
ログノフ
人は、個々の心理的特性や教育水準、そして社会的所属に大きく依拠した複雑な価値体系に基づいて行動します。加えて、今日では、たんに、一個人、一国家にとってだけでなく、人類全体にとって重要な目標が前面に押し出されています。したがって、たんにこのような価値をめざしてたたかうだけでなく、それを実現するための客観条件をつくりだし、それらの価値が一定の社会制度になるよう努力すべきだと思います。
各人の意識的な志向は一定の倫理基準の遵守のみに向けられるべきではありません。それは、社会的に見て自分の行為がどれほど意義をもち、その行為の結果が次代にどれほど役立つかに焦点をしぼったものでなければなりません。
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