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日蓮大聖人・池田大作

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社会変革と人間革命  

「第三の虹の橋」アナトーリ・A・ログノフ(池田大作全集第7巻)

前後
7  ところで寛容とはことのほか内容の深い概念であって、私の考えでは、少なくとも次の四つの事柄を包含していると思います。①必要(不可欠)への自覚、②志向、③心構え、④人々の分散ではなく接近を助成するものを丹念に集める能力。これを実行するのはつねに容易なことではありませんし、それはつねに、なんらかの譲歩をし、自分自身の「我」の当座の欲求に対立する何かを行うことを意味します。しかし選択の余地はありません。なぜなら、社会のいちばん小さな細胞であれ、あるいは、池田先生、あなたと私を含めた人類の共同体であれ、それなくしてはどんな人間共同体もあり得ないからです。
 善意の、はたから見てもうらやましいような教養のある家庭で、祖先から受け継いだものを、さらに豊かにして、それをそっくりそのまま子どもたちに引き渡すのと同様に、どの国民も、自己の伝統、史的遺産を保存し、いろいろな領域において収めた成果を倍加して、それを子孫に伝えることです。今、私たちみんなの前に、全人類の前に提起されている焦眉の課題は、私たちの住むすばらしい惑星、地球を大事に保存し、それを完全無欠の形で私たちの子どもに引き渡して、どうか平和に暮らしてください、生の喜びを十分に味わってください、といえるようにすることです。
 今日、私たちすべての人類は、おそらく歴史上最大の危機的瞬間を体験しています。私たちには、生き残るか、それとも全滅するか以外の選択はないでしょう。地球上の人々の大半がこのことを自覚し始めています。現在、私たちに要求されているのは、効果的な意欲であり、地上の生命をなんとしても守ろうとする決意です。さらには、不和の種でなく、平和の種を丁寧に拾うことが要求されているのです。
8  平和の建物は一つ一つの煉瓦からつくられます。緊張緩和の資本は小さなお金を集めてつくられます。この対談を通じて私は貴国の、日本、そして日本人について多くを知り、理解することができました。多くの事柄があらためて私を自分の国、ソ連やソビエト人に思いを向けさせました。
 交流が心をはずませ、実りあるものである時にはいつもそうです。相手を知り合うということは、必ずや人間を豊かにし、別の世界観、別の人生観を知る機会を与えてくれます。
 あなたとの対談は、私が日本精神のユニークな雰囲気を知り、それをロシア精神、ソビエト人の心と比較することを可能にしました。日本の世界は私にとってより近く、より理解しやすいものになりました。私たち地球上の人間が、過去・現在・未来を含めてすべていかに不可分に結びついているかをあらためて深く自覚するにいたりました。ともあれ、私たちを結びつけている糸を断ち切るようなことがあってはなりません。平和を守り、人間の生きた心を守りましょう。私たちは今このように豊かですが、もしかすると、すべてを失ってしまうかもしれないのです。
 これについては、モスクワで行われた『核のない世界と人類生存のためのフォーラム』で、ソ連邦の指導者ゴルバチョフ氏が述べた「新しい政治思考は、質的に新しい段階に文明を高めよと訴えている。このこと一つだけですでに、新しい政治思考は、そのポジションのたんに一度限りの訂正ではなく、国際問題処理に関する方法論である」という言葉を繰り返し引用させてもらいたいと思います。

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