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日蓮大聖人・池田大作

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まえがき  

「第三の虹の橋」アナトーリ・A・ログノフ(池田大作全集第7巻)

前後
5  この意味でも、日ソ両国民は、互いに理解し合わなければならないことが、まだまだたくさんあります。資本主義日本と、共産主義の盟主ソビエトとでは、物の考え方にさまざまな違いがあります。それは、ログノフ総長と私とのこの対話の各所に、読者の皆さんは読み取っていただけると思います。また、マルクス・レーニン主義を基本とされているログノフ総長と、仏教者である私とでは、宗教観、生命観など、最も根本的なところで相違があります。
 しかし、近代社会ではどこでも、思想・信条の自由を認めており、互いに自由を尊重し合っていくかぎり、日常生活にも国家社会の運用にも、なんらの支障をきたさないでいるように、こうした相違は、まったく私たちの対話を妨げるものではありませんし、両者の友情にヒビを入れるものでもありません。むしろ違いを理解し合うことによって、いっそう親密な話し合いを展開することができたと信じています。このことは、本書を読まれる日ソ両国の読者の皆さんも同じであろうと確信いたします。
 日ソ両国の交流は、十七世紀末にさかのぼり、十九世紀後半より二十世紀初頭、ロシアの文化から日本は多くを学んできました。これを両国間の第一の橋とも位置づけられましょう。
 その後、不幸な歴史もあり、第二次大戦後、東西冷戦の厳しい世界情勢のなか、友好の道を模索しつづけた――これが第二の橋ともいえます。
6  この対談が、国境や体制を超え、世界の平和を願う両国民衆の心と心を結ぶ、二十一世紀への懸け橋となればとの希望を込め、両者は題名を「第三の虹の橋」とすることで合意しました。
 この対話がつづいた六年の間に、ソビエトでは、病死によっていく人かの指導者の交代がありました。しかし、私たちの対話が変わることなくつづけられたのは、ソビエト指導層の一貫した姿勢によるものであると思います。とくにM・S・ゴルバチョフ書記長の平和・人権路線が、世界の平和のために、大きく結実していくことを願ってやみません。
   創価学会インタナショナル会長
               池田大作

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