Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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西洋とキリスト教  

「闇は暁を求めて」ルネ・ユイグ(池田大作全集第5巻)

前後
25  教会は、権力に拠らざるをえなくなっていましたが、とくにこの分裂が、敵対する二つの流派を創り出したときから、ますます俗界の力と結びついていきました。十九世紀には無条件にブルジョアジー側について、伝統によって認められたいというブルジョアジーの欲求を満足させるようになり、今日では教会は、たとえばマルキシズムのように教会の起源に対してまったく否定的なものでもかまわずに、優勢を占めている新しい思想をますます好むようになっています。周囲に広まっている思想の圧力を受け入れることによって、教会は重大な危機に遭遇しているのです。本来は教会が、その危機に対する治療薬でなければならないのに、その危機がヨーロッパをゆるがしているのです。聖職者がときとして信仰の基本的な啓示から顔をそむけ、教会の中に一種の社会的機関や社会化の機関しかみようとしないという事実は、教会の役割の根本的な堕落を示しています。というのは、もし教会が、当然そうあるべきように、この世俗の権力から弱者や貧者を保護するものであるとしても、それは、迷っている人間を精神的超克と愛の道へ連れ戻すことによって救うという固有の使命を忘れるほどに、物質的要求に与することによってではありません。
26  あなた方の宗教で私がとくに称賛するのは、その二元性だと申し上げたいのです。一方では日蓮正宗が教義や信仰の問題を守り、それを信仰者に託し、他方では、あなたが名誉会長でいらっしゃる創価学会という聖職者でない人びとの組織があって、教義を伝播したり、その建物を増やしたり、日本だけでなく世界各国の社会で重大な役割を果たしています。この二元性こそ、教会にとって大きな危険である精神的なものと世俗的なものの混淆や汚染を除去するのに適していると私には思われます。

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