Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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芸術への尊敬心  

「闇は暁を求めて」ルネ・ユイグ(池田大作全集第5巻)

前後
15  あなたもいわれたように、たしかに西洋でも移り変わりはあったでしょう。しかし、統治権力が、他の力の支配をいっさい認めなかった時代がどれほどあったでしょうか。私の理解しているところでは、そういう時代はローマ帝政時代の中でも、キリスト教化以前の時代と、近代ナショナリズムの時代だけです。それ以外は、あるときは神々が、あるときは教会が、そしてあるときは普遍法といったものが、統治権力とならんで、あるいはそれ以上の位置を占めた時代がつづきました。もし、これが、少しのあいだであったとしても、そういう時代があったこと自体が、人びとの意識に与える影響力は無視できません。
16  東洋では、つねに統治権力者が最高の地位を占めてきました。そして、すでに述べたように、統治権力のめざすところは、国の繁栄であり、したがって、民衆も、この現実的な繁栄に貢献することが価値ある生き方とされ、実利的な繁栄つまりあなたのいわれる“量”の価値こそ尊重され、それとは異なる“質”の価値を求める芸術は、どちらかといえば余計者、はみだし者とされてきたのです。この“質”の価値を認めたのは、“量”の面では十分に満たされた人びとのみであったといってよいでしょう。

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