Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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第五部 芸術的創造  

「闇は暁を求めて」ルネ・ユイグ(池田大作全集第5巻)

前後
2  芸術は、人間に与えられ、人間のみに与えられたこの力の模範です。私たちは、芸術によって、私たちを既知の他の世界と区別する能力を発現します。したがって、その能力を行使することは私たちの責任なのです。
 事実、芸術はなによりも“創造”であり、その価値は創造性のいかんにのみあります。もし、模倣と繰り返しと、原則や方法論の適用のみにとどまっているならば、それは手品か愚弄でしかありません。存在するもの、さらには予見しうるものにさえ、付け加わったものがあってこそ、芸術なのです。
 創造的行為によって、芸術は、現実の中に、もはや繰り返しや結果ではない、新しいもの、いまだだれもふれなかったもの、いわば、なにものも準備しているようにみえなかった付加価値を導入するのです。その作品の制作者自身、その意味に十分気づいていず、完成してみて初めて驚かされることもあります。
3  このことから、芸術もまた“自由性”であり、私たちの自由の主張と表示なのです。なぜなら、その特質は決定論からどれだけまぬかれているかというところにのみ価値があるからです。
 要するに、芸術の存在意義は、現実にあるものに“質”の探究と成就を導入することであり、質とは、いかなるていどにせよ計量に従うのではなく、見る人が制作者の呼びかけにこたえる行動によって初めて証明されうるものなのです。

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