Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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自由主義社会  

「闇は暁を求めて」ルネ・ユイグ(池田大作全集第5巻)

前後
5  この利益を吸収しているのが投機師です。そして、それに加えて非常にしばしば、彼は、不正行為によって、社会が収入に対してかける、増大し、いまや過重にさえなっている税をまぬかれています。その結果、監督されながら、実際に働いている人がいちばん痛めつけられ、いうなれば、罪を被せられているということになります。こうして、社会に対して最も少ししか貢献しないで、むしろそこから上前をはねている人間が、しばしば、最も恵まれた立場に立っているのです。
 この自由社会の欠陥を修正しようとしているのが社会主義であることは明らかです。しかし、その社会主義も、今日みられるように、時の経過のもたらす根本的な悪弊に破れていることを知らなければなりません。それは、あまりにもしばしば、生きた現実に対して抽象理念を立てることによって、極度に教条的で合理的な組織化の道具になっています。
6  それは、根底において、宗教がたどったのと類似した変化の道をたどっています。宗教は最初の創造的な躍動の高貴な力を失って、そのかわりに教会を破滅させるもの、つまり、抽象的教義と、社会のために用意している管理的な規制の儀式の中に自らを固定化していくのです。
 社会主義もまた、経済的利益しか考えません。ただ違うのは、それを国営化することによって、別の分け方をしようとするだけです。
 ところが、どんな社会的解釈も、もし、物質的人間と同時に、精神的人間の改良を揺るぎないものにしなければ、破れてしまうのです。

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