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日蓮大聖人・池田大作

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都会生活  

「闇は暁を求めて」ルネ・ユイグ(池田大作全集第5巻)

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5  あなたも指摘されているように、理性だけではとらえきれない、共同体的な人間同士のつながり、さらには大自然、大宇宙に脈打つリズムとの共感は、人間の真実の人格養成のために欠かすことのできないものです。都市と農村とを問わず、これらは、人間として必要不可欠の要素であると思います。
 私は、仏教は理念的にこれにこたえうると思っていますが、同時に、仏教のような宗教をその深い次元で絆としてもっている“人間共同体社会”の実現が、どうしてもなされなければならないのではないかと考えています。
6  ユイグ その解決は――、再びそこへ戻るわけですが、――現代生活によって、その本来の状態と正常な働きを妨げられている内面的生活の深い変革、人間の再生にしかありえません。内面的生命への回帰のみが、家庭という細胞のもつ抵抗能力を増大することができるのです。近親とのふれあいによって、人間の人格は、自らを強めると同時に、自らの独自性をあらわしていくことを学びます。
 人間の人格は、原理原則のうえに立っている人工的な共同体の中では、やせ細るのみです。しかし、生きた人びとの中では、不均衡は、絶えまなく強まっていくということはできず、行きつくところは、消滅します。
 事物の自然の働きの中では、不均衡は、その反動としての衝撃をまねきます。個人ないし集団が、そのさまざまの面の中の一つだけを強化して人間性の平衡を破っても、しょせん、人間は生物学的・心理学的な秩序の中にいるのであって、この秩序は平衡を回復するような反動をひきおこすのです。そうした反動の芽生えに注意をはらい、その芽生えを妨げている時代思想の硬化症を明確にし、その意識を助けてくれる反対の思想をそれに対置させることによって、この芽生えを大事にしていく必要があります。

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