Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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消費文明  

「闇は暁を求めて」ルネ・ユイグ(池田大作全集第5巻)

前後
14  仏教思想をはじめとする東洋思想とともに生きてきたアジアの民族は、ときには物質的な栄華を誇りとした時代もありましたが、今は西洋の科学、技術の威力の後塵を拝しているようです。工業化の発達した先進諸国からみれば、科学技術文明を容易に取り入れようとしない人びとの生活は貧しく悲惨にみえます。しかし、彼らにしてみれば、それがいったいなにになるのか、と考えているかもしれません。彼らは、自然の許すままの恵みに頼っていく生き方がほんとうで、たとえ細々とした貧しい生活であったとしても、それが人間の正しいあり方だと考えているのかもしれないのです。もとより、貧しく、飢えにさいなまれている状態が望ましいというわけではありません。しかし、自然と、また地球と「うまくやっていく」ためには、人類は少しは自らの欲望を制御しなければならないのではないでしょうか。便利さ、つまり暮らしやすさは人口の増加をもたらし、生のゆえに人類の絶滅をもたらすであろうからです。
15  少なくとも、農業が、自然の恵みと人間の手足以外の、工業的・化学的手段をもって支えられているあり方は、絶対に望ましいものではありません。そういう手段を使わないで、自然の要素を活用してできうるかぎりの農産物の増加を図り、他方、人口の抑制を図るところに解決の糸口を求めていくべきであると私はいいたいのです。
 そのための基本的な思想として、いまや人類は調和と安定の時代に入った、否、入らなければならないという考え方に立つべきだと私は考えています。

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