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日蓮大聖人・池田大作

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罪の意識  

「社会と宗教」ブライアン・ウィルソン(池田大作全集第6巻)

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5  池田 おっしゃる意味はよくわかります。私がキリスト教の考え方として挙げたのは、今日のキリスト教世界で人々がどう考えているかではなく、聖書から汲み取られる通りの、本来のキリスト教の考え方ということです。もちろん、教授のお答えは、私が提起した問題に十分答えてくださっていますし、あえていえば、現代のヨーロッパ人にとっても、仏教の考え方が受け入れやすいとの確信を得ることができたと思っています。
 そこでもう一つ思うのは、たしかに現代のヨーロッパ人は、合理的な思考から、恣意的に振る舞う権限をもった神の概念よりも、因に応じた果をもたらすという彼らの期待する神の概念を支持し、またそれを基盤に行動しているでしょうが、何かのために合理的信念の基盤が崩れたとき、帰っていくのは伝統的な宗教であり、その宗教の原典の教えです。しかも、宗教の原典の教えは、日常においても意識の深層を規定していきます。その意味でも、私は、現在の人々の考え方を検討することと同時に、信仰の拠りどころになっている宗教の原典の教えを検討し、その特質を吟味することが大事ではないかと考えるのです。
6  (注1)煉獄
 浄罪界ともいう。カトリック教理の一つ。この世で小罪を犯してその償いが十分でない者の霊魂が、死後罪の清められるまで留まる一時的な罰の状態、またその罰を受ける場所。やがて救われて天上界に入る望みがあるが、煉獄にある間は火に燃やされて苦患を味わわなければならないとされる。プロテスタントは概して煉獄の存在を信じない。

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