Nichiren・Ikeda
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日蓮大聖人・池田大作
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性善説と性悪説
「社会と宗教」ブライアン・ウィルソン(池田大作全集第6巻)
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アメリカの場合は、そうした内面化が弱いことと、それとともに現実の社会があまりにも競争原理によっているため、道徳的規制力が弱いことが、犯罪や不道徳行為の激増を招いているのではないでしょうか。教会に参会することも、それだけやっていれば信仰の勤めを果たしているという受け止め方であっては、かえってそれ以外の所ではどんな放縦も許されるということになりかねません。教会で教わったことを現実の生き方の中に反映させることが大切なのだという受け止め方をしてこそ、信仰は本来の力を発揮するはずです。
日本の場合、宗教的にいえばきわめて世俗的で、日本人の宗教は、神道も仏教も、現実生活に関して道徳的教訓や命令は、一切していないといっても過言ではないほどです。ある意味では、それだけに、現実の生活そのものの中に、長い歴史によって培われた習慣が浸透していることと、単一民族(もちろん起源的には単一ではないにしても、歴史的経過の中で単一化してきたのです)の単一社会で、常に周囲の人々の評価を気にする習性が染みついていることからも、犯罪や不道徳的行為に対する規制力が非常に強く働いているようです。
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(注1)荀子(前二九八年?―前二三五年)
中国・戦国時代の儒学者。著書『荀子』二十巻において性悪説を唱え、礼によって秩序を正すことを主張した。
(注2)孟子(前三七二年―前二八九年)
中国・戦国時代の哲学者。孔子の思想を継承発展させ、仁義礼智の徳を重視し、道徳成立の根拠として性善説を説いた。また、民主主義的な要素をも加えた王道政治思想を主張した。孔孟と並称される。
(注3)原罪説
人間は生まれながらに罪の負い目をもつとし、人間の生得的な罪悪の傾向をアダムの堕罪(原罪・『旧約聖書』創世記)の結果によるものとするキリスト教神学説。
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