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日蓮大聖人・池田大作

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人工中絶について  

「社会と宗教」ブライアン・ウィルソン(池田大作全集第6巻)

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5  最後に、理由はどうあれ、子供が肉体的にも精神的にも、重大な機能の欠陥をもって生まれてきそうなことが、医学的に事前に確認された場合です。そのような子供は、生まれてからずっと面倒をみてもらわなければならず、そのために、両親の生活に重大な支障をきたすことが考えられます。両親の人生のチャンスは閉ざされ、職業上の昇進や、享楽や、さらには創造性すらも奪われてしまうかもしれません。この場合、たしかに中絶によって極度に知恵遅れの胎児の生命を絶つことにはなるにしても、もう一度健康な子供をつくる機会が両親に与えられてよいでしょう。もし、彼ら両親が、一人の重症の障害児の面倒をみるために縛られてしまえば、その負担があまりにも大きいため、もはや、健康に生まれてくるかもしれない別の子供を持とうとはしなくなるでしょう。
6  池田 レイプは、日本でも徐々に増加してきているようです。私も、教授と同様に、レイプや近親相姦による妊娠の場合は、ほんとうに最後の手段としては、中絶もやむをえないと思います。そこでいうまでもなく大事なことは、このようなことが起きないように、社会的にも、道徳的・倫理的にも、最大の努力をすることです。
 次に、胎児の遺伝子に欠陥がある場合は、十分な検討が必要のように思われます。私は、軽症の場合は、中絶の対象にはならないと思いますが、重症の疾患のある場合には、それを発見した時点で、症状の程度を両親に説明して、両親の任意な意見を何よりも尊重するという方法をとるべきであると思います。
 しかし、私が最も強調したいことは、肉体的・精神的な障害を引き起こすような要因を、徹底して除く努力が必要だということです。これは個人のレベルでも、社会のレベルでもいえることです。わずかの注意で、障害を引き起こすか否かが、決まってくることも多いと思われます。特に、妊娠初期には、薬物や化学物質に注意し、またウイルス感染や放射線を避けることも必要ですし、遺伝についての医学的知識に基づいた対策も、大切でしょう。

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