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日蓮大聖人・池田大作

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人工受精について  

「社会と宗教」ブライアン・ウィルソン(池田大作全集第6巻)

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7  池田 日本には「生みの親より育ての親」という諺があり、血のつながりはなくても、一緒に生活していくうちに実の親子以上の愛情で結ばれる例が、古来、少なくありません。ましてや、養子に比べて、第三者の精子提供による人工受精の大きな特徴は、(夫婦の合意のうえでであれば)妻が十分に母なるものの役割を果たし、母性を味わうことができることにあると思います。
 いま指摘されたような、精神的に未熟な夫による悲劇のケースもたしかに起こりうるでしょうが、全般的には、子供が育っていくにつれて、夫も、あたかもほんとうの父であるように、父性を味わうことができるのではないでしょうか。そして、妻も、このような夫に感謝するようになるでしょう。
 このような点からいって、日本でもAID(注2)が行われていますが、今後、養子を迎えるよりも、AIDのほうを選択する人が増えてくるように思われます。日本の現状は、全体としてはまだ十分ではありませんが、ある病院の場合、健康で、遺伝学的欠陥もなく、性格的にも知能的にも問題がなく、しかも、夫の身体的・性格的特徴にできるだけ類似した素質を具えた提供者を、見出すように努力しているということが報じられています。いずれにしても大切なことは、血のつながりを超えた情愛をどう深く培っていくかであり、それは人間としての成長に係っているということでしょう。
8  (注1)試験管ベビー
 卵管不妊で子が得られない人に対し、ガラス容器内で体外受精、培養した受精卵を母体に戻し、妊娠、分娩を行う。その結果、生まれた赤ん坊をさす。
 (注2)AID
 非配偶者間人工受精(artificialinseminationbydonor)。

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