Nichiren・Ikeda
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日蓮大聖人・池田大作
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インスピレーションと組織
「社会と宗教」ブライアン・ウィルソン(池田大作全集第6巻)
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極端な例をとりますと、たとえばキリスト教の一派で、非常に孤立した生活を送ることを選んだアマン・メノー派(注1)では、日常生活の些細なことすら神聖視するようになりました。彼らは、ふだんの服装にも宗教的な意味があると考え、古風な十七世紀の農民の衣服(それに風習)から少しでも逸脱することは、神聖を汚すことであると考えました。旧式なホックと通し輪をやめてボタンにすることさえ、異端視されたのです。
これは極端な例ではありますが、このことは、宗教活動のうちの世俗的な雑事でさえ、聖なる光輝で覆われるという一般的な傾向を例証するものです。機能上の行為が儀礼化され、元来はたんに機能上必要とされていただけの事物や手続きが、神聖な象徴的意義を帯びるようになります。もちろん、神聖化は宗教の目的の一部を成すものですが、同時に、人々を新たな献身に駆り立てる宗教の能力にとっても、また人々の生命により高い理想を吹き込むうえでも、一つの脅威となります。
慣例化と神聖化は、たがいに関連しながら進行することがあります。この二つは、いずれも指導権が、神意を告げる預言者から、制度や等級――聖職者の等級であれ管理者の等級であれ――をより重んじる人々に移行したことを示します。
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今日の宗教運動においては、神聖化の現象は、ほとんど目立たなくなっています。これらの運動は、急速な内部の変革に対して少なからぬ許容力を示しており、このことが、神聖化を妨げているのです。多くの場合、今日の宗教団体は、大きくなるにつれて、一般社会に普及しているような、多数の分業にますます依存する組織形態を、そのまま取り入れるようになっています。基金の調達、財産の管理、出版物の製作、布教の推進、渉外活動等々の専門的な要請によって、アマチュア的な統制手段を排斥せざるをえなくなり、専門技術をもつエキスパートたちに取って代わられます。
これらのエキスパートたちは、突然の急進的な霊感による鼓舞よりも、むしろ安全性、一定のリズムや手続き、行動の一貫性、系統立った企画などのほうを重視する傾向があります。彼らは宗教組織を能率化し、安全なイメージを作り上げますが、しかし、その陰では、宗教の初期の特徴であった、生気に溢れ活気に満ちた精神的な表現が、ときとして犠牲にされているのです。
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(注1)アマン・メノー派
スイス及びアルザス地方に生まれた「スイス・ブレズレン・メノー派」のことで、スイスの牧師ジャコブ・アマンによって一六九三年から九七年にかけて形成された、隔離的で保守的な信徒集団。現在では、約四万五千人の信徒が、アメリカの、主としてペンシルベニア州とオハイオ州に住んで共同体を形成している。きわめて伝統的な風習を守り、質素な服装をし、電気・自動車を使用しないなど強い規制を守り、規則を守らない成員は共同体から追放される。
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