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日蓮大聖人・池田大作

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組織伸長が抱える課題  

「社会と宗教」ブライアン・ウィルソン(池田大作全集第6巻)

前後
9  こうした偶発的で、まれな発展は、一般的な理論ではもちろん説明できず、それぞれのケースについての詳細な歴史的分析によって、初めて説明可能となります。伸長期もしくは再伸長期の後は、運動は、主として内部からの新加入(つまり会員の子供たちの加入)に依存して、そこに安住してしまうことが考えられます。
 しかも、これがたいていの宗教の、少なくとも“ホーム・テリトリー(自己領域)”内における典型的な発展の姿でした。たいていの宗教は、意図的な外部への布教活動の結果得られる会員増は計算に入れず、むしろ内部における伸長・新加入によって、その寿命の大部分にわたる発展を、通常、期待するようになるものです(ただし、キリスト教の伝道は、その成功の多くを、技術的に進歩した国民の宗教であるという有利さと、帝国の権力に結びついたおかげとによっていました)。
 この考察を抜きにしたとしても、ふつう一つの宗教の歴史における創設時、もしくは初期的段階を特徴づけるエネルギーの突如の噴出を、長期にわたって維持することは困難なのです。
10  池田 創価学会の発展も、戸田城聖第二代会長が、第二次世界大戦後、布教の活動を始めてから、一九六五年ぐらいまでの十数年間は、文字通り爆発的ともいえる伸展を遂げました。しかし、その後は、徐々に速度をゆるめ、着実な伸長を続けています。
 一つには、あまりにも急激な布教活動を展開すると、社会的な摩擦が大きくなるため、もう一つには、個々の会員の生活にしても、組織という点においても、その内部的充実・整備を同時に図りながら進めなければ破綻をきたす恐れがあると考え、私自身が、責任者として、方向を転換したのです。
 その後しばらくの時期、会員増という点では停滞したように見えたことがありましたが、機構整備・理論構築という面では、その間も着々と進展しました。そうした時期を経て、初期のころとは違った階層の中に、私たちの運動に参加してくる人々が出てくるようになりました。
11  もちろん、この第二期の発展速度は、第一期のそれとは違って、はるかにゆっくりしたものですが、広範な賛同者の輪を広げつつ進められています。端的にいえば、第一期の運動は、参加してきた人以外は、むしろ反感を抱いて去っていくという人々も少なくなかったのに対し、第二期のそれは、いまはまだ思いきって参加するまでにはいたらないが、基本的にはその理念や運動に魅力を感じているという人々を、実際の参加者の何倍も生み出しながら行われているということです。
 そのような人々のなかには、何年か経って実際に参加してきている人もいますし、自分は参加しなくても、外側から運動を支援してくださっている人もいます。そうした賛同者が増えてきているということは、今後の発展にとって大きな希望であると考えています。

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