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日蓮大聖人・池田大作

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三世の生命観  

「社会と宗教」ブライアン・ウィルソン(池田大作全集第6巻)

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3  輪廻転生説は、これに比べると、さらに難解な概念です。なぜなら、転生した生命は、時間と、たぶん、空間という広がりの中に散在していなければならないからです。その生命は生まれてくるたびに、言語を含めて、新たな、そしておそらく普通はまったく異なる、社会の知識体系を学習する必要があるでしょう。どんな人も、そうした過去の学習の形跡をもって生まれてくる人はありませんから――しかも言語の問題は決定的です――その人の思考過程が、ある一生と次の一生の区切り目を越えることは、言葉のうえで不可能であると推測することができましょう。このように、人間は直接的な“過去世の思い出”はもっておりません。また一方、催眠術や夢や、デジャ・ヴュ(既視感)――出来事や特定の場所に関して、昔経験したことがあるように感じる説明不能な類似性――の経験などは、証拠としては評価し難いものです。
 厳密に科学的な立場では、私たちは開かれた心を保ち続けねばならない、と私は思います。他方、信仰者は、証拠など必要ないと考えるかもしれません。この二つの立場の間にあって、個人が過去にたくさんの生存を繰り返してきたかもしれない可能性を頭から否定する人は、厚かましい人だといえましょう。
4  (注1)ドゴン族
 西アフリカに住む焼き畑農耕民。見事な工芸品を作り、種々の発明を生み出すことで定評があるが、そのインスピレーションの源泉については定かでなく、未解明のままである。
 (注2)キリスト教の心霊術者
 心霊術(降神術・交霊術ともいう)とは、家族など生きている人間に対して、死者の霊が感応力の強い媒介者(霊媒)を通じて霊魂の交流を求めるということを信じる信仰。キリスト教の心霊術はアメリカでカルトを形成した。一八四八年、ニューヨークのハイズヴィルで最初の「降霊」の証明が行われ(後に作り話であることが認められた)、それ以後、生命が死後にも存在することの証拠として、数人の著名な聖職者を含む少数派がこれを信仰している。
 (注3)悪魔払い
 祈祷などで悪魔を追い出すこと。ユダヤ教等の習慣がキリスト教会にも定着し、異教徒の洗礼や、異端者の復帰の際に行われた。
 (注4)ポルターガイスト
 騒霊。家の中でいろいろの原因不明の音を立てたり出来事を引き起こしたりして、自らの存在を知らせる、騒々しい、いたずら好きのお化け(妖精)とされている。音はさせても姿は見えないといわれる。

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