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不戦世界を目指して――ガンジー主義と現… ガンジー記念館記念講演

1992.2.11 「平和提言」「記念講演」(池田大作全集第2巻)

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23  ″開かれた宗教性″に人類蘇生の道
 今から三十年以上も前に、現代の″脱イデオロギーの時代″を予見していた、アメリカの思想家ダニエル・ベルは、「神聖なものの復活、すなわち新しい宗教的な形態の勃興はあるのだろうか。私は、このことに関し疑問をもっていない」(『二十世紀文化の散歩道』正慶孝訳、ダイヤモンド社)とも述べております。
 私はガンジーが「宗教とは、宗派主義を意味しない。宇宙の秩序正しい道徳的支配への信仰を意味する」と訴えている、開かれた精神性、宗教性こそ、それに呼応するものと思っております。
 ガンジーは、この大いなる精神性、宗教性は、あらゆる人々の中に平等に宿っている、その内なる力を眠らせたままでは決してならない、それを全人類に目覚めさせていこうと呼びかけているように思えてならないのであります。
 「真理は神である」をモットーとし、セクト性を徹底して排しつつ、ガンジーが心に抱いていた″聖なるもの″こそ、この精神の力ではないでしょうか。それこそが凶暴なイデオロギーによって痛めつけられた人々の心を癒し、蘇生させ、人類史を開きゆく大道であることを、私は信じてやみません。
 私がこの「平和の王道」を恩師から学んだのは、戦後まもない十九歳の時であります。以来四十五年間、波瀾万丈の民衆運動に身を投じてまいりました。
 これからも更に、ガンジーが生涯、民衆の中で、魂と魂の美しい共鳴を奏で続けたあの姿をしのびつつ、尊敬するインドの皆さま方とご一緒に、「不戦」「平和」への大いなる精神の連帯を、世界へ広げてまいる決心であります。
24  最後に、ガンジーに「マハトマ(偉大なる魂)」との尊称を贈ったタゴールが、「人間」と「社会」と「宇宙」を貫く永遠なる生命の律動を見事に謳い上げた詩の一節を朗読させていただきます。
 「昼となく夜となく わたしの血管をながれる同じ生命の流れが、世界をつらぬいてながれ、律動的に鼓動をうちながら 躍動している。
 その同じ生命が 大地の塵のなかをかけめぐり、無数の草の葉のなかに歓びとなって萌え出で、木の葉や花々のざわめく波となってくだける。
 その同じ生命が 生と死の海の揺監のなかで、潮の満ち干につれて ゆられている。
 この生命の世界に触れると わたしの手足は輝きわたるかに思われる。そして、いまこの刹那にも、幾世代の生命の鼓動が わたしの血のなかに脈打っているという思いから、わたしの誇りは湧きおこる」
 (「ギタンジャリ」森本達雄訳、『タゴール著作集』1〈詩集I〉所収、第三文明社)と。
 ご清聴、ありがとうございました。
 (平成4年2月H日 インド、ガンジー記念館)

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