Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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新しき人類意識を求めて マカオ東亜大学記念講演

1991.1.30 「平和提言」「記念講演」(池田大作全集第2巻)

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17  ――あの江西の皇恐灘の急流のあたりで元軍に敗れたときは、あわて恐れたことを語るばかりで、この零丁洋にあっては、一人おちぶれ、捕らわれの身となったことを嘆くばかりである。しかし、人生にあって昔から死なない者があるだろうか。どうせ死ぬのであれば、せめて赤誠の真心を、この世にとどめて、歴史に輝かせていきたい(大意)――。
 文天祥はこの詩をもって、死を覚悟で懐柔の誘いを断り、やがて、刑場の露と消えていきます。しかし、最後まで、節を曲げることなく、信義に生きた文天祥の名は、英雄として今なおひときわ歴史に輝きを放っております。このエピソードが、今日なお私たちの胸を打つのは、立場を超えて、その人間としての心情が普遍であるからであります。
 文天祥がその魂を賭して我が道に生きることを歌った大海を望み、若き孫文が封建中国の改革のための運動に身を投じたこのマカオは、大いなる理想に向かう青年の立志の天地にふさわしい地であります。
18  最後に、東亜大学に学ぶ皆さまが、この新しき英知の港から、新しき世界精神、人類意識の開道者として、二十一世紀の平和の大海原へ船出されゆく姿を思い描きつつ、私の記念講演とさせていただきます。ありがとうございました。
 (平成3年1月30日 マカオ東亜大学)

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