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日蓮大聖人・池田大作

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「融合の地」に響く地球主義の鼓動 ブエノスァイレス大学記念講演

1990.3.1 「平和提言」「記念講演」(池田大作全集第2巻)

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7  さて、このようなコスモポリタン的個人が世界に貢献しうる最大の課題として、今後、世界的に急浮上してくるであろうものは人権問題であります。
 皆さまもご存じのように、近年「第三世代の人権」がクローズアップされ、心ある人々の注目を集めております。それは自由権的基本権としての「第一世代の人権」、生存権的基本権としての「第二世代の人権」に対して、発展・環境・平和などを内容としています。第一、第二の人権が″国家からの自由″の保障や、国家に要求する性質の権利だったとすれば、「第三世代の人権」は、もはや国家の枠を超えた地球的規模での対応なしには真の解決を望めない性質のものである点に際立った特徴があります。
 例えば、「環境問題に対する権利」を取り上げてみても、汚染されない空気や水とともに生きる権利を確保するには、国境や国益にとらわれていては解決できず、グローバルな視野と人類益の発想に立つほかはない。まさにボーダーレス時代こそ、コスモポリタン的個人の出番であると、私は信じてやまないのであります。
8  ともあれ、あらゆる閉鎖的な考え方が変更を迫られ、崩壊していくのが、ボーダーレス時代の潮流であります。個人においても、自分を超えて人類全体と関わっていることを自覚できるような生き方が求められているといってよい。そのような価値体系の一つとして、私は人権問題への取り組みを挙げたい。そして貴国の国民性のなかに、とりわけ若い世代の皆さまに、その旗手としての大いなる可能性を見いだすのであります。
9  最後に、本日が、歴史ある貴大学と、はるか日本の若い大学である創価大学との、学術・教育交流の第一歩となれば、これ以上の喜びはありません。貴国並びに貴大学のますますのご発展を心より念願しつつ、私のささやかな挨拶といたします。
 (平成2年3月1日 ブエノスアイレス大学 池田博正氏が代読)

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