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日蓮大聖人・池田大作

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第15回「SGIの日」記念提言 希望の世紀へ「民主」の凱歌

1990.1.26 「平和提言」「記念講演」(池田大作全集第2巻)

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36  「教育発展基金」をベースにすれば、各国から人材をつのることは十分可能でありましょう。
 教育特別総会が必要だと考える第二の理由は「世界市民教育」を進めるためのものであります。私は九〇年代を「国連世界市民教育の十年」にと提案してまいりました。その具体的な中身としては「環境」「開発」「平和」「人権」という人類が最優先で取り組むべき課題を総合的に含んだものを提唱してきました。
 グローバルな視座からものごとをとらえる意識が広く浸透しはじめているとはいえ、世界には依然として人種、民族、宗教的対立からくる紛争が絶えません。国連が一日も早く「世界市民教育」を本格的に進めるために、教育特別総会が必要な時を迎えております。これによって地球を″共通の家″とする新たなグローバリズムの浸透を図っていきたい。
 教育特別総会の開催地としては、その趣旨からいって先進国より第三世界のほうが望ましい。アフリカのケニアの首都ナイロビは、東アフリカの玄関口として空の便も良い国際都市であります。ホテルや国際会議場も整っており適当な候補地といえましょう。
 以上、私は国連を軸にした新たな提言を幾つか試みました。もとより現状の国連には限界があり、過剰な期待だという意見もあるにちがいない。私はそうした現実を十分認識しつつも、あえて新しい時代に即した国際秩序を形成するには国連の役割を強化する以外ないという信念に立って提言を申し上げました。
37  日ソ友好関係樹立の道を開こう
 現代は国境を越えて様々なモノが瞬時に動く時代だといわれます。確かに科学技術や通信網が発達し、情報やカネの動きは国境を越えて激しい。世界経済はますます複雑に入り組んでおります。輸送手段の発達により、人間の交流も活発化する一方であります。
 国境の壁はますます低くなっております。この新年、東西ベルリン間では三百七十万の人々が相互訪問したという。お互いがお互いを直接的によく知り合い、理解しあえる新しい時代が到来しております。
 昨年、東欧で始まった自由と民主化を要求する声は、やがて全地球的に浸透していくことが予想されます。現在はまだ軍事的な緊張が見られるアジア・太平洋地域にも、そうした波は及んでくるでありましょう。
 戦後の東西冷戦構造のなかで対立分断状況が固定化されてきた大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国との関係にも、やがて厚い氷を突き崩す″春″の訪れを期待したい。そのための南北首脳会談の一日も早い実現を重ねて要望したい。
 立ち遅れている日ソ間の関係改善についても、私は双方が近く思い切った歩み寄りをするのを望んでおります。日ソ友好関係樹立の道は、歴史的経緯もあり、一筋縄ではいきませんが、長い目で見れば政治、経済を超えた民衆と民衆の友好連帯関係を一歩一歩どう築き上げるかであり、二十一世紀への「不戦共同体制」を世界的にどう構築するかという英知の試みのなかで考えられねばなりません。
 今夏、アメリカの創価大学ロサンゼルス分校で、創価大学主催による環太平洋シンポジウムが開催されることになっております。私はこのシンポジウムで、日ソ関係を含めた多角的問題について実りある討議を期待しております。
 併せて近い将来、ロサンゼルス分校内に「アジア・太平洋平和文化センター」を設け、私がかねて構想している「アジア・太平洋平和文化機構」ヘと連なる諸問題を広く研究していってはどうかと考えております。
 いよいよ民意が、地域を、国を、地球を動かす「民意の時代」「民主の流れ」の時を迎えております。人類史上初めて、民衆が真の主役になる時代が到来しつつあるといっても過言ではありません。その先にどういう新しい世界が生まれるのか。私たちは座してそれを待つのではなく、その新しい地球文明創出の先頭を走るランナーであり続けたいと思います。
 本年も、私は可能なかぎり世界を回り、民衆の側に立って、平和な地球の建設のために走り抜きたいと念願しております。
 (平成2年1月27日「聖教新聞」掲載)

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