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日蓮大聖人・池田大作

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歴史と人物を考察――迫害と人生 第11回創大祭記念講演

1981.10.31 「平和提言」「記念講演」「論文」(池田大作全集第1巻)

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25  私は、いわゆる″英雄主義″″天才主義″にくみするものでは決してありません。歴史的偉業といえども一人の手で成し遂げられるものでは絶対にない。多くの無名の民衆に支えられ包まれながら、支持されて成就するのが道理であると信じております。
 歴史的偉業というものは、どんなに偉大な個人の名が冠せられていようとも、民衆という大地に、しかと根を張っているものなのであります。だからこそ民衆の犠牲のうえに君臨しゆく権力者やエリートは、野望と保身から発する、ドス黒いねたみと羨望の炎に焼かれるのであります。彼らの地位や位がどうあれ、その心根ともいうべき本質を、ゲーテは「人間もほんとうに下等になると、ついに他人の不幸や失敗を喜ぶこと以外の関心をなくしてしまう」(『ゲーテ全集』大山定一訳)境涯にまで堕落してしまっていると言っております。そこから民衆のリーダーに対して、迫害の嵐が巻き起こるのは必然の理なのであります。
26  「古きを温ねて新しきを知る」という諺がありますが、こうした″迫害の構図″こそ、古今を通じて変わらぬ歴史の鉄則と私はみるのであります。
 これは私事にわたって誠に恐縮ですが、私も一仏法者として一庶民として、全くいわれなき中傷と迫害の連続でありました。しかし、僣越ながらこの″迫害の構図″に照らしてみれば、迫害こそむしろ仏法者の誉れであります。人生の最高の錦であると思っております。後世の歴史は、必ずや事の真実を厳しく審判していくであろうことを、この場をお借りして断言しておきます。
 若き学徒の諸君にあっても、長いこれからの人生の旅路にあって、大なり小なり悔しい嵐の中を突き進んでいかねばならないことがあると思いますが、きょうの私の話が、その時の一つの糧となれば、望外の喜びであります。
 どうかこの数日間、楽しい創大祭を送られますようお祈り申し上げ、私のつたない話を終わらせていただきます。
 (昭和56年10月31日 創価大学体育館)

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