Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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第13回「SGIの日」記念提言 平和の鼓動文化の虹

1988.1.26 「平和提言」「記念講演」「論文」(池田大作全集第1巻)

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34  また人権の歴史的流れをみますと、かつてユネスコのK・ヴァサック氏が指摘したように「第一世代」の市民的、政治的権利、「第二世代」の経済的、社会的、文化的権利に対し、現代は「第三世代の人権」が要請される時代であります。この権利は氏の言葉を借りれば、「発展への権利、健康でバランスのとれた環境への権利、平和への権利、そして、人類の共同財産を所有する権利」であります。世界人権宣言に謳われているのは、第一、第二世代という二つのカテゴリーの人権であります。「世界市民憲章」で目指すべきものは、この第二世代の人権を包括的に含んだものといってよい。そこに貫かれた共通の太い核は、生存の権利に根差した「生命の尊厳」の内実化であります。
 国連憲章の前文では「基本的人権」と「人間の尊厳及び価値」が謳われ、世界人権宣言の前文では「人類社会のすべての構成員の固有の尊厳」と「平等で譲ることのできない権利」とが並記されております。「世界市民憲章」は、この人間の尊厳と価値の中身を、世界市民の立場から「生命の尊厳」として更に明確化させ、その内実化を進めていくものとしたい。従って「世界市民憲章」は、国連憲章と世界人権宣言、更にはユネスコ憲章を一段と時代にマッチした形で補完強化し、「世界不戦宣言」実現の土壌づくりを目指す、努力の産物と位置づけられましょう。
 その意味で私は、第三回国連軍縮特別総会を機に、世界のNGOの知恵を結集し、この「世界市民憲章」の実現へ向けて創造的努力をしてほしいと念願するものであります。
35  人類は、今や二十世紀という時代を総仕上げすべき時に突入しております。歴史の水面上では様々な現象が私どもの目を奪い、一瞬もとどまるところはありません。しかし、そうした一時的現象にとらわれることなく、歴史を真に決定づける深い水底の確かな流れに目を凝らしていこうではありませんか。それはほかならぬ民衆の意志という巨大な流れであります。世界の民衆は、明らかに世界の不戦と恒久平和を待ち望んでおります。
 最後に「創価学会インタナショナルは永遠に民衆の側に立つ」という不変の精神を再確認しつつ、今年一年も勇敢に平和社会建設のために邁進していくことを共々に誓い合いたいものであります。
 (昭和63年1月26日 「聖教新聞」掲載)

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