Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

第12回「SGIの日」記念提言 「民衆の世紀」へ平和の光彩

1987.1.26 「平和提言」「記念講演」「論文」(池田大作全集第1巻)

前後
40  青少年による世界交流の推進を
 創価学会インタナショナルは世界百十五カ国にメンバーを有しております。そして、それぞれの国でそれぞれの国の良き市民として、メンバーは人類の幸福、世界の恒久平和と繁栄のために尽くしゆくことを目指しております。
 私自身、世界の各国を訪ね、さまざまな階層の人々と対話を交わしてきたのも、国家やイデオロギーを超えて世界的連帯を築き、世界の民衆と民衆との間に揺るがぬ信義の絆を形成したいと願っているからにほかなりません。それこそが私どもの目標とする戦争のない平和社会を実現する基盤なのであります。
 特に私は世界の未来を担いゆく青少年の交流を活発に進めていきたいと念願しております。SGIはこれまで様々な次元から世界の民衆同士の交流を進めてまいりました。とりわけ毎年、SGIメンバーが世界平和への誓いを一段と固め合う祭典として、世界青年平和文化祭を開催し、SGI運動の一つのシンボルともなっております。
 そこに雀躍して集い来る若人の姿に一つの着想を得て申し上げるのですが、単にSGIに限らず二十一世紀を視野におさめ、国際交流を一段と進めるために「世界青少年交流センター」とでもいうべきものを作る構想を、日本が率先して考えてみてはどうか。世界の青年がそこに泊まり、交流し、お互いが歴史と文化を学び合っていく場とするのであります。現在、中国では「日中青年交流センター」の建設が進められておりますが、そうした場を更に拡大、充実させていく必要があると思うのであります。それが、草の根レベルでの、青少年による″民衆交流″の拠点になれば、平和への計り知れぬ貢献をなしていくでありましょう。
41  昨年末、私は″構造的暴力″の唱導者であり、平和研究の世界的権威であるJ・ガルトゥング博士と再会いたしました。そして、平和構築への条件をめぐって、幅広い論議を交わし、多くの点で意見の一致をみました。博士は、恒久平和の建設へ、仏教とりわけ私どもの進めている運動に、大きな期待を寄せておられました。博士の最近の論文には、次のような一節がみられます。
 「仏教には積極的な平和政治のためのひとつの源泉としての大きな可能性、しかもかなり活用されていない可能性があるということ、また直接的暴力と構造的暴力に満ちたこの世界の堕落した影響を受けないようにするために、復活しなければならない、生かし続けねばならない何かがあるということである。(中略)世界では、より平和を志向する構造をうちたてようとの努力はなされている。しかしそれらは、ときとしてエトス――核になる規範を欠いている。仏教こそまさにそのエトスであり、それはおそらく具体的な構造を求めているのである」と。
 たしかに仏教とりわけ私どもの信奉する、大乗仏教の真髄である日蓮大聖人の仏法は、いまだ歴史的に検証されていない、未知の可能性をはらんでおります。歴史の手垢に汚されていないだけに、それが、恒久平和のためにどう貢献していけるかは、いつに私どもの取り組み方いかんにかかっているのであります。
 ″精神″の力の復興は、単にアメリカのみの課題ではありません。世界のいたるところに存在する″構造的暴力″を駆逐していくためには、究極的には、″タテ″に、内なる生命の深みより発する″精神″の力を掘り起こし、″ヨコ″には、世界市民の心のスクラムを幾重にも、幾次元にも広げ、強めていく以外にないのであります。SGIの皆さんは、そうした先駆の労作業に日々汗しているのだとの誇りも高く、きょうも、恒久平和への旗を振りゆかれんことを念願しつつ、私の所感とさせていただきます。
 (昭和62年1月26日 「聖教新聞」掲載)

1
40