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日蓮大聖人・池田大作

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第11回「SGIの日」記念提言 恒久平和へ対話の大道を

1986.1.26 「平和提言」「記念講演」「論文」(池田大作全集第1巻)

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22  更には世界の国々に開かれた国際学会の場として、また共同研究の場として、韓国からも北朝鮮からも、あるいは現在、北朝鮮とは国交がない米国、日本など西側諸国、韓国と国交のない中国、ソ連の学者、研究者などが自由に参加し、研究討論できる場にすれば、交流、研究をとおして新しい情報が正しく伝わり、テクノロジーの分野を含めた研究成果が活用されていくでありましょう。それはまた、アジア・太平洋地域の南北問題の解決に大いに貢献し、多大な寄与をなしうると確信するものであります。
 国際政治に揺り動かされ、かつては戦場として血で染まった地が、平和と学術文化興隆の場として変わりゆくとき、南北の民衆は戦争の恐怖からようやく解放されるでありましょう。侵略に苦しみ、戦人に泣き、分断にあえいできた民衆にこそ、最も強く安穏と繁栄の陽光が燦々と降り注いでほしいというのが私の願いであります。
 私が南北分断の状況について今、あえて発言し、二十一世紀への構想をここで述べたのは、世界平和を心から願う仏法者の立場から、また同じ地球市民として、この半島に生き暮らしている人々と、平和の陽光を共有したいとの切なる心情からであります。この国が真の平和へ先駆の道を切り開くことは、他の国々の民衆にも大きな希望と勇気を与えることは間違いありません。
 この国の民衆は、ある意味で二十世紀の苦悩の象徴でありました。その苦悩を乗り越えて、この国が蘇生するとき、アジアのみならず人類の最大の難問を英知で解決した模範として、燦然と歴史に輝き続けるでありましょう。
23  新世紀担う青年の力に期待
 以上、アジア・太平洋の問題で具体的な提言をいたしましたが、最も大切なポイントは平和を希求する民衆の心と心をどう結び付けていくかということであります。
 今を去る十七年前、私は未来を見すえ中国の青年との友好を訴えました。一九六八年九月、第十一回学生部総会の席上であります。当時、日中間の国交は閉ざされたままでありました。一方ではベトナム戦争が激化し、米中の武力対決も懸念されておりました。私はだれがみても厳しい時代状況を根本的に転換しゆくために、あえて中国の国連復帰、日中国交正常化などアジアの平和、世界平和へのビジョンを提示しました。
 それは日中の戦争に直接関係ない世代が、ともに手を取り合い、明るい世界の建設に笑みを交わしながら働いていけるようにとの願いを込めての提言でありました。その願いは叶い、今、日中の若人の間には深い友誼の絆が芽生えております。
 私は同じく韓国、北朝鮮の若人とも平和、友好の心で変わらぬ友情を育んでいける時代の一日も早い到来を願わずにはいられません。過去の不幸な歴史に関与していない若い世代から、お互いに尊敬し助け合って、それぞれの国の未来を明るく健全なものにしていく友情が広く深くなっていくことを期待したい。そしてこうした友情の輪が民族、国境を超えてヨーロッパの国々、南米の国々、二十一世紀の大陸アフリカの国々等に広がって、地球がより強い平和の光に包まれることを念願してやみません。
 新しい世紀は確実に我々の前に近づきつつあります。その世紀を担うものは、試練に挑戦する青年のエネルギーであります。今回の私のビジョンの実現を、私は若き世代の手に託したい。アジア・太平洋の、そして全地球の前途を担う青年達に、その実現を目指す遅しい前進を心から念願するものであります。
 (昭和61年1月26日 「聖教新聞」掲載)

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