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日蓮大聖人・池田大作

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第9回「SGIの日」記念提言 「世界不戦」への広大なる流れを

1985.1.26 「平和提言」「記念講演」「論文」(池田大作全集第1巻)

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11  民衆を主役に平和路線の開拓
 かつて「世界人権宣言」が国際連合の第三回総会で全会一致のもとに成立しました。これは個人の基本的自由、更に経済的、社会的、文化的な面における基本的権利を細かく規定し、戦後、人権保障のモデルを世界に示したものとして大きな意義を持っております。
 その後、国連は「世界人権宣言」を法的拘束力を持つものとして条約化し、その実施を義務づけるために国際人権規約を起草し、総会決議をもとに各国が署名できるように開放したことは周知のとおりです。
 私はその先例にならい「世界不戦宣言」を国連決議として成立させたい。それは、恒久平和実現への貴重な突破口となると信ずるものであります。しかし、一挙にそこまで到達しようとすることは、非現実的との批判を免れ得ないでありましょう。そこで、まず第一段階として、NGO(非政府機関)レベルで、この「世界不戦宣言」採択実現へ、何らかの地ならし作業に取り組んでいってはどうかと提案するものであります。
 国家レベルの論議というものは、どうしても戦術、戦略論が先に立ち、民衆の素朴な反戦、不戦への心情をくみとりにくい。その点、NGOならば、性格上、民衆の意識をより的確に反映しゆくことが可能であると思うのであります。なぜなら、今なによりも必要なことは「世界不戦」への流れを世界の民衆が主体的に、できるところから作り上げていくことであるからであります。
 その潮流を広く大きくしつつ、「国連平和の年」につなげ、更に第三回国連軍縮特別総会の基調精神にもっていけば、多大の成果が期待し得るでありましょう。それはまた、民衆による全地球的な不戦の包囲網の形成といってもよい。
12  私はこうした「世界不戦」の流れを主体的に担い推進する者として、青年の力に大いなる希望を託す一人であります。来年は「国際青年の年」でもあり、平和と軍縮のため、なかんずく世界から戦争を絶滅するために、各国のNGOの青年達が力を合わせてほしいと願わざるを得ません。とりわけ我がSGIの青年メンバーが、「世界不戦」の誓いを固め合い、その先駆を切ることを心から期待したい。
 戦争は勝者も敗者も代償を払わねばならない――先日、お会いしたハーバード大学のジョン・モンゴメリー教授がこう語っていた言葉が忘れられません。第二次大戦の敗戦国である日本は、幸いにして戦後、平和憲法を制定し、驚異的な経済的繁栄を築き上げました。一方、勝者の米国は強大な軍事国家として朝鮮戦争、ベトナム戦争等にかかわり、膨大な人命を犠牲にしました。勝者としての代償もまた極めて大きかったと言わねばなりません。まさに「戦争ほど悲惨で残酷なものはない」との感慨を改めて深くするものであります。
 とりわけ核時代の人類生存の絶対的条件とは、あらゆる戦争の否定であります。たとえ核兵器を使用しない戦争であっても、それがいつ核戦争にエスカレートするか分からない以上、不戦こそ人類生き残りの不可欠の条件だと言わねばなりません。
 二十一世紀は確実に近づきつつあります。我々は「世界不戦」へ向けて粘り強く行動を続けるとともに、世界の心ある青年達に新しい時代の幕開けを託したいと思う。民衆が望む恒久平和への第一歩を、今こそ勇敢に印す時であります。
 (昭和59年1月26日「聖教新聞」掲載)

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